W杯まで2年…ラグビー日本代表の“真の現在地” 足りない「23人の総合力」、起こる選手拘束の綱引き

起こり始めた「代表&所属クラブ間の選手拘束時間の奪い合い」
では、その宿題をTDはどう乗り越えて行こうと考えているのだろうか。
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「強度の差に関しては、コリジョン(衝突)が起こるシチュエーションが更に重要になっていく中で、S&C(ストレングス&コンディショニング=運動能力およびパフォーマンスの向上、最適化)コーチを中心に、更に所属チームと連携しながら選手をどう成長させていくかが大切です。ここを、しっかり整備していく必要を感じています」
接点での激しさ、ルーズボールを確保しようという必死さ、旺盛さなど、テストマッチに臨む姿勢は、多くの南アフリカ代表メンバーが所属先の日本のチームでプレーしている時とは別次元のパフォーマンスを見せていた。ゲームメンバーの平均キャップ数がようやく20台に達しようという若い日本代表メンバーにとっては、相手がベスト布陣ではなかったとはいえ、世界1位と13位(試合当時)の格差、トップチームのテストマッチでの厳しさを嫌という程味わわされ、自分たちの立ち位置を痛感させられた80分でもあった。
ヨーロッパ遠征での選手のパフォーマンス、練習での取り組みを取材する中で大きな課題だと感じたのは“時間との戦い”だった。W杯で目指すベスト8突破という目標を踏まえると、どこまで選手強化のための時間を創り出せるかが重要なテーマになるだろう。イングランドやフランスのプロリーグでは10年、20年前に起きていた代表と所属クラブによる選手の拘束時間の奪い合い、つまり代表選手の強化時間をどう配分、確保していくかという問題が日本の中でも起こり始めている。
これは、言い換えれば代表とチームによる選手拘束時間の“綱引き”なのだが、通年のカレンダーを見ても双方の活動スケジュールはシーズンを重ねる毎にタイトになっている。そのためリーグワンでも、現状の12月開幕からスケジュールに比較的余裕が見込める秋(9、10月)開幕を検討材料に挙げているが、永友TDは代表選手がチームに戻っている時間でいかに強化に必要なメニューを消化出来るかを考えている。
「基本的な代表チームのスタンスとしては、所属チームに戻った選手についてはチームのトレーニングメニューをベースにやってもらっています。チーム側もいいプログラムを持っているので、そこは信頼してお任せしていますが、しっかりとコミュニケーションを取りながら、我々の方でプラスα何か補強出来るものがあるならサポートしていきたい」
日本代表が27年W杯のプール戦での対戦が決まっているフランスや、決勝トーナメントでは勝たなければならない今秋完敗した南アフリカ、アイルランドクラスの強豪と渡り合うためには、協会、リーグ、チームが連携しながら、代表クラスの選手の強化時間をどう創り出していけるかが、開幕したリーグワン期間中で着手するべき急務の課題だと考えていいだろう。
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