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サニブラウンは「才能に頼った走り」を卒業した 9秒99の裏にあった“米国式の成長”

競技場の外で見える成長…授業は一番前で出席、英語で友人らと冗談

 米国で生活するサニブラウンの成長の跡は、競技場の外でもうかがえる。留学生という立場のサニブラウンは1日3つの授業に出ながら、朝の筋力トレーニングと午後の練習というハードスケジュールをこなす。学生アスリートにとって学業と競技の両立は大きな壁だが、フロリダ大は各分野で専門家をそろえている。クラス毎にチューターが付き、1週間に一度、ストラテジー・チューターとスケジュールの組み方などについて話し合う。スポーツ心理学のスタッフも常駐し、パフォーマンスの相談もできるようになっているのは心強い。

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 こうした手厚いサポートに後押しされ、学業の方でも2年目の「進化」を見せていた。サニブラウンのアカデミック・アドバイザーを務めるフロリダ大のティム・エイト氏は「多くの学生アスリートは授業中にクラスの一番後ろに座るが、ハキームは一番前に座って積極的に授業に参加している。教授やチューターはみんな、どん欲に学ぼうとする姿勢を絶賛している」と評価する。1年生時には大学が用意した通訳に頼っていたが、語学力が伸びた2年目は助けもいらなくなり、友人らと冗談を言い合うまでに成長した。「米国生活に順応できたことも陸上競技に集中できる要因となったのではないか」と、エイト氏は見ている。

 米国式のトレーニングと生活に順応し、才能を伸ばしている20歳にとっては「10秒の壁」突破は通過点に過ぎない。桐生祥秀の持つ9.98秒の日本記録についても「そのうちいけるんじゃないですか」と、イメージはできているようだ。次戦の全米学生選手権東地区予選(23日から)と6月上旬の本戦での記録更新も現実味を帯びてくる。「まだシーズンは始まったばかりなのでこれからという感じですね。やるべきことを一歩ずつやってしっかりと自分のレースを走って、全米選手権、日本選手権につなげていければと思います」。着実に成長し続ける若きスプリンターの今後が、ますます楽しみになってきた。

(岡田 弘太郎 / Kotaro Okada)

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