伝説ドネア撃破も「いつも怖い」 血まみれの王者・堤聖也が語った覚悟…リングでつぶやく「がんばれ俺」
ボクシングのWBA世界バンタム級王座統一戦12回戦が17日、東京・両国国技館で行われ、同級正規王者の堤聖也(角海老宝石)が暫定王者のノニト・ドネア(フィリピン)に2-1(117-111、115-113、112-116)の判定勝ち。団体内王座統一に成功した。戦績は29歳の堤が13勝(8KO)3分け、43歳のドネアが43勝(28KO)9敗。恐怖と期待が入り混じる中で、世界5階級制覇のレジェンドとの戦いを下し、次なる戦いを見据えた。

WBA世界バンタム級王座統一戦
ボクシングのWBA世界バンタム級王座統一戦12回戦が17日、東京・両国国技館で行われ、同級正規王者の堤聖也(角海老宝石)が暫定王者のノニト・ドネア(フィリピン)に2-1(117-111、115-113、112-116)の判定勝ち。団体内王座統一に成功した。戦績は29歳の堤が13勝(8KO)3分け、43歳のドネアが43勝(28KO)9敗。恐怖と期待が入り混じる中で、世界5階級制覇のレジェンドとの戦いに勝ち、次なる戦いを見据えた。
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堤が王者の執念を見せた。立ち上がりから足を使って間合いを測り、隙を見てジャブを放った。2回はドネアの圧に押され、鋭いコンビネーションを浴びる。4回は堤が攻勢に転じ、ロープ際に追い込みラッシュ。会場を沸かせた。しかし、終盤に強烈な右アッパーを浴びて鼻をカット。膝からぐらつき、ダウン寸前となったがゴングに助けられた。
6回、会場に響き渡る「聖也」コールを背に反撃。強力な右ストレートで顔面を捉えた。続く7回、ドネアの右フックをかいくぐり攻め立てるも、隙がないドネアのカウンターを被弾。血で顔を赤く染めた。鬼気迫る表情を見せ、10回は再びコーナーに追い込み連打を浴びせ右フックを叩き込む。最終12回、2人はハグをしてラウンド開始。渾身の左フックでドネアをぐらつかせた。死闘は判定にもつれこみ、2-1で勝利。会場は歓声に包まれた。
「がんばれ俺って、何度も言い聞かせながら戦いました」
レジェンドとの死闘を終えた直後、リング上で本音をこぼした。強打を浴び、顔を腫らしても、自分を鼓舞しつづけることで均衡を保ち、そして上回った。振り返ってみれば、流血の試合が続く。「増田陸(帝拳)戦(23年8月、5試合前)からじゃないですかね。こんなに血まみれのイメージがついたのは」と自嘲気味に語るも、表情には覚悟がにじんでいた。
試合後の会見では「ハードパンチャーとは試合してきたから、今まで殴られてきた経験が生きたな」と回想。「毎日ちゃんと積み重ねてきたので、きつい時でも頑張って戦える」。一つひとつの傷と鍛錬が、折れない堤を作り上げていた。
万全にして臨んだ試合だった。両目に長く不調を抱え「2、3年前からずっと目が痛くて。その痛みをごまかしながら試合をしてきました」という状態でリングに立ち続けた。昨秋に手術を予定していたが、井上拓真(大橋)への挑戦が決まり、先送りに。さらに今年2月には比嘉大吾(志成)との初防衛戦も重なり、治療は後回しとなっていた。
比嘉戦後に手術を受け、角膜の傷を修復。回復まで半年かかる見込みだったが、わずか1週間ほどでトレーニングを再開した。「リングのライトや裸眼で外出することもつらかった」という症状は落ち着き、不安も解消していた。
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