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ラグビー日本代表に“新参謀”入閣か 最右翼の名前は…確保した世界12位→W杯8強突破への道程

門戸が狭まる代表選考、エディーHCが挙げた来夏の3つのポイントとは【写真:JRFU】
門戸が狭まる代表選考、エディーHCが挙げた来夏の3つのポイントとは【写真:JRFU】

来夏の強化ポイントは3つ 門戸が狭まる代表選考

 羽田での会見で、エディーに既に対戦相手も見え始めた来夏の強化ポイントについて聞くと、今回のツアーでの取り組みも踏まえてこう語っている。

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「テストラグビーは、今3つのコンテストで構成されています。一つが空中戦。これが過去よりも重要なエリアになってきています。自陣からキックして、敵陣でボールを確保して、アタックを畳みかけるゲームが主流になってきている。なので、我々もそこを継続的に強化していかなければいけない。後は、セットプレーの安定。ジョージア戦ではラインアウトとスクラムが安定していたが、(負けた)ウェールズ戦は不安定だった。ここをしっかり安定させないと、いい試合運びが出来ません。安定性を追求して、そこからジャパンのアタックを繰り広げられる形に発展させていきたい。もう一つはディフェンスのクォリティーですが、ここは(防御担当のアシスタントコーチ)ギャリー・ゴールドが入って来て、よりアグレッシブなディフェンスが出来るようになってきた。詰まるところ、ラグビーのファンダメンタル(基礎的)なところをしっかりとやらなければいけないのです。それは出来ればジャパンのラグビーが出来る」

 指揮官の指摘する(1)キックコンテスト、(2)セットの安定、(3)ディフェンスという勝つための基盤のレベルを更に上げていく中で、その3要素を土台とした日本の目指すスピードを重視した「超速」ラグビーを築き上げていく2027年へ向けたロードマップは見えてきた。その描いたマップを、どこまでピッチの上でパフォーマンス、スコアに繋げていけるかが、2026年シーズンの勝負になる。

 まだ発展途上のチームではあるが、ツアー前半の2試合まで現地で取材し、残り2試合は日本からのオンライン取材、そして1試合毎のチームとしての進化を見る中で頭の中に思い浮かんだのは、苦戦を続けながらも現行のメンバーたちが試合とハードな練習で得た学びや、メンタル面、戦術面での組織として築いてきたものを見ると、ここから新たにチームに加わり、順応出来る選手はかなり限られてくる、つまり代表入りの門戸は閉じられつつあるのではないかという“仮説”だった。帰国会見で早速エディーにぶつけると、こんな言葉が返ってきた。

「本当に入って来るのが難しくなっています。そうあるべきという風にも思っています。今ジャパンでずっと戦ってきた選手、練習してきた選手と他の選手たちの間には歴然と差があるのです。代表に参加してきた選手はフィジカル的にも違いますし、取り組む姿勢、努力し、学ぼうとする姿勢も違います。なので、必然的にこのスコッドに入るには、ただならぬ努力を見せないといけないのです」

 エディー・ジョーンズという指導者は、前提として常に代表入りするための門戸は開いておきたいというタイプだ。その基本姿勢は今も変わらないだろう。だが、決して諸手を挙げて絶賛は出来ない結果ではあるものの、チームと選手がここまで積み上げてきたものをみれば、その開かれているはずの門が相当狭まっているのも間違いない。そんな状況の中で、まだ代表入りを果たせていない日本の選手へのメッセ―ジとも受け取れる発言もしている。

「リーグワンで選手たちには、世界の舞台でフィジカル的に戦えることを証明してほしい。例えば、今回の遠征で代表デビューも果たしたLO山本秀(リコーブラックラムズ東京)は、5カ月で5kg体重を増やしている。それは代表チームが促すのではなく、自発的に行わなければいけないのです。テストマッチで戦える体が必要です。そのためには、今までやってきた以上の厳しい練習をしなければいけないですし、それをやるかどうかは選手自身が選択することです。そういう選択をして、テストレベルで戦えるパフォーマンスを見せてくれる選手がいれば私も着目していきたいし、リーグワンは貪欲に世界で戦いたいという気持ちを見せるチャンスだとも思っています」

 セレクションのための時間は終わりつつあり、第2次エディージャパンの3シーズン目となる来季は、その固まりつつあるメンバーでの戦術の磨き込み、まだ若いメンバーの経験値、スキル、フィジカル、そしてゲーム理解の深化の時間が始まろうとしている。

「W杯まで2年というところですが、まず初年度(2024年)は、その前年までと大幅な変更を加えずにタレントを発掘する1年でした。そして今年の2年目は、ファンデーション(基礎)作りをしてきた。そこで60から70%程のスコッドが固まって来たと思います。それを来年は80%に固めたい。そのメンバーで12から15試合を戦い、今季も苦戦したプレッシャー下でのゲームマネジメントの部分を成長させ、チームの安定性を築き上げていきたい」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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