ラグビー日本代表に“新参謀”入閣か 最右翼の名前は…確保した世界12位→W杯8強突破への道程
ラグビー日本代表はヨーロッパでの「リポビタンDツアー2025」を1勝3敗で終えて2025年シーズンを終えた。11月24日には帰国したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が会見して、ツアー及びシーズンを振り返った。最終戦でジョージアに25-23と薄氷の勝利を得たことで、開幕まで2年を切った次回ワールドカップ(W杯)では、かろうじてプール戦(1次リーグ)2位グループにシード分けされる12位を確保。プール戦突破のためには大きなプラス材料を得た一方で、目指すW杯ベスト8突破には地力不足も露呈。指揮官、そして苦闘を続けた選手の言葉から、2年後の8強突破への進化の道程を検証する。(取材・文=吉田 宏)

秋の欧州遠征1勝3敗で終了 エディージャパン2025年シーズン総括
ラグビー日本代表はヨーロッパでの「リポビタンDツアー2025」を1勝3敗で終えて2025年シーズンを終えた。11月24日には帰国したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)が会見して、ツアー及びシーズンを振り返った。最終戦でジョージアに25-23と薄氷の勝利を得たことで、開幕まで2年を切った次回ワールドカップ(W杯)では、かろうじてプール戦(1次リーグ)2位グループにシード分けされる12位を確保。プール戦突破のためには大きなプラス材料を得た一方で、目指すW杯ベスト8突破には地力不足も露呈。指揮官、そして苦闘を続けた選手の言葉から、2年後の8強突破への進化の道程を検証する。(取材・文=吉田 宏)
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かろうじてランク12位浮上を決めて帰国した羽田空港で、指揮官が秋のツアーと、就任2シーズン目までの足跡をこう振り返った。
「ちょうど1年前のこの(帰国・総括)会見から、我々が目指すところとの差はかなり狭まったと思います。選手層が厚みを増して、1、2、3番手の選手を怪我で欠いていたにも関わらず、PR小林賢太(東京サントリーサンゴリアス、9キャップ)、HO佐藤健次(埼玉パナソニックワイルドナイツ、9キャップ)らが、このツアーでよく適応し、成長してくれた。本当に歯が立たなかったのは南アフリカだけで、他の相手に対しては勝利のチャンスはあったと思います。テストマッチというのは、僅差で勝負が決まります。なので局面局面でタフにファイトして、戦術、戦略的にも賢く戦っていく必要があるが、今回のツアーではそこのところの成長が見られたと思う」
ツアー参加メンバーの中で2023年W杯を経験した選手は9人だけ。W杯経験者の中でコンディション不良による選外の選手もいたが、2年後にベストパフォーマンスを出せるかという視点で世代交代に大きく舵を切った布陣での1勝3敗に、指揮官は成長を感じ取った。
敵地トビリシでのジョージアとの最終戦は、ラストワンプレーでの逆転勝ち。昨季は日本を今回と真逆のスコア(25-23)で倒すなど、シーズン毎に進化を見せる東欧の雄だが、精度の低さ、プレーの粗さをみれば、まだまだ世界の2番手グループ「ティア2」のチーム。最後の致命傷となったのも、必要ない反則だった。そんな相手と80分間ほぼ互角の戦いを演じたエディージャパンも、ほぼ同等のクォリティーのゲームしか出来ていないという現実はある。
ツアー前の東京でのオーストラリア戦も含めて目についたのが、ここまでのコラムでも指摘してきた組織プレーでの精度の低さとそれに伴う遂行力の低さ、ディシプリン(規律)、そして対戦相手により大きく安定感が変わるセットピースといった、ゲームを優位に進めるために重要な基本的なエリアだ。厳しい評価を下せば、これらの課題をみると、今秋の日本代表が立たされた世界の12-13位辺りというランクは妥当な評価と言ってもいいだろう。
だが、敵地での厳しい戦いを続ける中で、経験値が浅いチームが1歩ずつだが進化のステップを踏みしめてきたのも事実だ。顕著なのは、キックを戦略的に使ったゲームマネジメントだろう。ジョージア戦ラストワンプレーで値千金の逆転決勝PGを決めたSO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)が、こう振り返る。
「アタックの所では、自分たちの(ゲーム)プランでプレーは出来なかった。相手のフィジカル(の強さ)に対して受けてしまっていたし、敵陣22mライン内に入っても孤立してしまうプレーも目立ち、何度かトライチャンスを失っていた。正直アタック面では改善するべき部分が多かったと思うが、SH齋藤直人さん(スタッド・トゥールーザン)ら9番からのキック、(WTB植田)和磨(神戸S)も初めての先発だったがいい働きをしてくれた。テンポをコントロールしていいキックゲームに持ち込むところは上手くいったと思う」
日本のファーストトライで10-3とリードを奪った直後の攻防では、齋藤、李が的確にエリアを取るキック、相手とコンテストしてボールを奪い合うハイパントを駆使して、敵陣に攻め込んでいる。フランスの強豪スタッド・トゥールーザンで2シーズン目を戦い、ツアー途中で代表に合流した齋藤の左右の足でのキックを使ったゲームの組み立てには、エディーも「齋藤のキックと、そこからのキックチェイスは素晴らしいものがあった。植田に関しては、まだテストマッチ2試合目だったにも関わらず、空中戦で果敢に競り合えたところに成長が見られた」と若い植田と共に評価している。密集からのボールを競り合うハイパント、エリアを進めるためのボックスキックなど、高さ、精度、どんな状況とポジションでどのキックを使うかの判断力と、日本国内でプレーする選手との“質”の違いを印象付けた。
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