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渡邊雄太、悲願のNBA本契約の行方は? 勝負の2年目へ、クリアすべき2つの課題

現地記者が指摘「もう少し見たかったというのが正直なところだ」

「昨季を通じてもっとユウタのプレーをNBAで見たかったというのが正直なところだ。ただ、諸事情でそうはならなかった。4、5分のプレーイングタイムでその選手を判断するのは難しい。ドレル・ライト、タイラー・ドーシー、ブルーノ・カボクロといったあたりはまとまったプレー時間を得たおかげで、持っている力をアピールできた。ユウタが同じように起用されていれば、首脳陣をもっと感心させるようなプレーはできたかもしれない」

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 コッブ記者の言葉からも、メンフィスの人間がまだ渡邊の真価を図りかねているという真実が伝わって来る。もっとも、だからといって悲観しすぎる必要はもちろんない。NBAで長くサバイブしていけると確信させるほどのアピールはできなくても、特にGリーグの舞台では優れたペリミターディフェンスとプレーメイカーとしての力量を継続的に誇示していた。様々なツールを持ったサウスポーのポテンシャルが、前体制から残ったスタッフに認められていることは間違いない。そして、コッブ記者のこんな指摘は今後渡邊がやらねばならないことをわかりやすい形で示している。

「昨季のユウタのプレーを見たものは、身体ができて、3ポイントショットを強化すれば来季にさらに向上できると考えているはずだ。その2つの面で成長を示せれば、来季も2ウェイプレイヤーとして起用され続ける可能性は高いと思う」

 ここで挙げられた“フィジカル強化”と“ロングジャンパーの精度向上”は、プロ入り前後から何度も渡邊の課題として挙げられてきた部分である。渡邊本人もその点はもちろん熟知している。結論はこれまでと変わらないのだが、この2つの伸びしろをどれだけ誇示できるかが今後の鍵にもなるのだろう。現状では推測するしかないが、グリズリーズの新フロントオフィスが注目するのもその部分ではないか。

 まず渡邊が目標とすべきは7月にソルトレイクシティ、ラスベガスで開催されるサマーリーグ。多くの若手有望株が集まるこのイベントで1年前はブルックリン・ネッツの一員として力を発揮し、実力を認められ、グリズリーズとの2ウェイ契約につなげた経緯がある。今年も同じように活躍し、グリズリーズの、そして他のチームのトップにアピールできるかどうか。

 はっきりしているのは、渡邊は今後も実力を証明し続けなければならないということ。チャレンジを続け、結果を出せば、何らかの形で道は必ず開ける。努力に努力を重ねてここまでたどり着いた背番号12は、もちろんその事実に気づいているはずである。

(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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