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那須川天心、初めて知った「1敗」で透けた人生観 不敗神話に変わり「こっから始まる」新章へ

ボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦12回戦が24日、江東区のTOYOTA ARENA TOKYOで行われ、同級1位・那須川天心(帝拳)が同級2位・井上拓真(大橋)に0-3(112-116×2、111-117)で判定負け。ボクシング転向8戦目、格闘技キャリア55戦目で初黒星を喫した。試合後の会見で敗戦と向き合う姿に、“神童”と呼ばれた男の人生観が表れていた。戦績は27歳の那須川が7勝(2KO)1敗。29歳の井上が21勝(5KO)2敗。

キャリア初黒星を喫した那須川天心(左)【写真:山口比佐夫】
キャリア初黒星を喫した那須川天心(左)【写真:山口比佐夫】

WBC世界バンタム級王座決定戦

 ボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦12回戦が24日、江東区のTOYOTA ARENA TOKYOで行われ、同級1位・那須川天心(帝拳)が同級2位・井上拓真(大橋)に0-3(112-116×2、111-117)で判定負け。ボクシング転向8戦目、格闘技キャリア55戦目で初黒星を喫した。試合後の会見で敗戦と向き合う姿に、“神童”と呼ばれた男の人生観が表れていた。戦績は27歳の那須川が7勝(2KO)1敗。29歳の井上が21勝(5KO)2敗。

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 不敗神話が終わった瞬間、那須川は前を向いた。「こっから始まるなー」。悔しさはもちろんある。だが、「みんなの前で恥をさらすのも格闘技。一生懸命生きている奴しかそういうことはできない」と常に覚悟を決めて挑んできた。格闘技キャリア55戦目での初黒星。出てきた感想は「人生おもしろいな」だった。

「自分の可能性をさらに感じた。『あ、ここで負けさせられるんだ』って。人生、いい方向に転んでも悪い方向に転んでもおもしろいと思っている。挑戦して結果が出ないのも楽しいし、おもしろい。いままで思ったことないものが出たのが、いろんな発見だと思う。人生実験なんで、次は成功させるだけ」

 初の世界戦。悔いのない練習を積んできた自負はあった。最初の2ラウンドは優位に進めるも、3回以降は井上のペースに。「距離感がうまかった。自分が練習しているものが出せない間合いだったり距離感に拓真選手がいたというのが敗因かな」。痛感した経験の差。それは同時に、ボクシング転向約3年の那須川にとって、伸びしろとも言える。

 メディア露出が多く、アンチも少なくない。批判的な声が届くのは覚悟の上だ。「負けたことで世の中の人はいろいろ言うかもしれないですけど、僕は自信をもってここまで仕上げてきたので。悔いはないし、ボクシングというものがまた好きになる一戦だった。また人生は続くし、堂々と生きていこうかなと」。悔しさはあっても、その表情は晴れやかだった。

 戦績についた「1敗」。だが、それでキャリアが終わるわけじゃない。「ダサいじゃないですか。負けて辞めますなんて。辞めないよ。やり続けます。それが自分の生き方だと思う。人間ですから、やり続けるしかないっすよ。やり返します。必ず」。敗北という事実に真正面から向き合った那須川。“神童”と呼ばれた男の新章がここから始まる。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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