勝つとか負けるとかじゃない、那須川天心が戦う理由 キャリア初黒星で至る「人生おもろい」の思考

井上拓真を「ボクシングそのもの」と表現
ボクシング転向初戦は、井上と同じ舞台だった。WBA世界バンタム級2位だったリボリオ・ソリス(ベネズエラ)との同級王座決定戦で判定勝ちしてベルトを巻いた井上と、6回戦から歩み始めた那須川。約2年半が経ち那須川は「まさかこうやって横並びで、この期間でできるとは」と振り返る。「自分は周りに恵まれている。自信を持って、胸を張って、ここまでやってきた自分をちょっとほめてやりたい」と感慨深そうに話した。
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対戦相手の井上を「ボクシングそのもの」と表現し、敬意を示した。その上で「僕が勝った方が面白い」とも発言。競技を長く見ているファンからは厳しい目を向けられることも多い。この日は井上がスリップした際、「意図的に押した」と見られ、ブーイングが飛ぶ場面があった。「嫌われているんですかね?」と苦笑いを浮かべ「故意じゃない」と否定した。
未だ那須川を批判するアンチについては「負けたからといって僕から『全て奪えると思うなよ』と思っています」と揺るがない芯がある。さらに「ボクシングの伝統や文化を大事にしながら、新しいものを作っていくのが僕の仕事、役割」と自負している。
勝っても革命は起きない。負けても全ては奪われない。では何のために那須川は戦うのか。
「本当に強いもの同士が戦う試合を自分の中でも求めていたし、お客さんも求めていたと思う。純度の高い格闘技の試合ができる。心が落ち込んだり、病んだり、良いことばかりの人生じゃないと思うので。そういう人を救う試合にしていきたい」
試合を終えて「全部出しきった。たくさんの方に愛されていると改めて思った」と清々しい表情を見せた。キャリア初黒星を喫したが「こっから始まるなーみたいな感覚になりましたね。なんか、凄く人生おもろいなって率直に」と前を向く。ファンもアンチもひっくるめて、これからも全身全霊の那須川天心を届ける。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)
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