WBC世界バンタム級王座決定戦

　ボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦12回戦が24日、江東区のTOYOTA ARENA TOKYOで行われ、同級1位・那須川天心（帝拳）が同級2位・井上拓真（大橋）に0-3（112-116×2、111-117）で判定負け。ボクシング転向8戦目でキャリア初黒星となった。初の世界戦、那須川は何を懸けてリングに上がったのか。戦う理由を試合前に明かしていた。戦績は27歳の那須川が7勝（2KO）1敗。29歳の井上が21勝（5KO）2敗。

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　大歓声を浴びながら、拳を交わした。初回は互いに相手の出方を見る展開でスタート。終盤に那須川が左のオーバーハンド、2回に右フックを当てた。3回と4回は、攻勢に出た井上からボディーと右フックを浴びた。4回終了時点では、ジャッジ3者が38-38と採点。互角な戦いが繰り広げられた。

　6回、7回と被弾が増えた那須川。8回終了時点で0-2とリードを許した。後がない状況。前に出てジャブを放つが井上を捉えきれず。決着は判定にもつれ込んだが、結果は歴然。雄叫びを上げた井上に対し、那須川は悔しそうな表情を浮かべた。0-3（112-116×2、111-117）で判定負け。欲しかったベルトは手に入らなかった。

　キックボクシング、総合格闘技で合わせて47戦全勝。2023年4月にボクシングデビューし、ここまで格闘技キャリア54戦無敗だった。記録が途絶えた那須川に、抜かりがあったわけではない。

「ここで勝ったとてひっくり返るような革命は起きない」

　世界初挑戦を前にして、那須川の言葉はどこまでも冷静だった。転向から約3年。「本当に楽しいもので、面白いもので、難しい」。“神童”と呼ばれても競技の奥深さを実感する毎日だ。那須川にとって王者は通過点であり「目的地ははるか先」と統一戦や階級を変えることも視野に入れていた。