初Vの脇元華、父が見た初めてのうれし涙 乗り越えた現実の壁「このまま消えていくんだと…」

2020、21年にはパットイップスに「グリーン上で泣いたことも」
「計画では25歳までに3、4勝してアメリカに行ってプレーするつもりでした。でも、現実は違いました。2020年、21年の頃にはパットイップスのような状態になりました。『このまま消えていくんだ』と思い、グリーン上で泣いたこともあります。今年は初優勝の人が多くて、宮崎に帰っても空港には『菅楓華プロ、初優勝おめでとうございます』の垂れ幕があって、『私も頑張らなければ』と思いました」
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パットイップスは、大先輩の上田桃子、男子の谷原秀人、岩田寛らにアドバイスを受け、「シンプルな考え」を学ぶうちに克服。今季開幕前に発症した椎間板ヘルニアで悩んだスイングについては、片山晋呉からの指導で調整を続けてきた。
そして、メルセデス・ランキング58位で迎えた今大会。準シード圏の55位以内に入れず、ツアー最終予選会(QT)に回ることも想定した中での初優勝については「自分が一番信じられないです」と実感を込めた。
文字通り、崖っぷちからつかんだ栄冠。頑張れた要素の一つには、プロテスト合格を断念した妹・桜さんの存在もあった。
「ずっと一緒に練習をしてきましたが、妹も椎間板ヘルニアになってそういう決断をしました。その分、『もっと自分が頑張りたい』という思いもありました」
来週には、地元の宮崎でツアー最終戦・JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップが開催される。同年シーズンの優勝者とランキング上位者だけが出場できるメジャー大会だ。
「去年、ランキングで初めて出場できましたが、優勝して出場できることが何よりうれしいです」
QTを想定した12月中旬に予定していた椎間板ヘルニアの手術は、この優勝で来季出場権を手にしたことで「前倒し」をするという。
「来年は万全な姿になって進化して、2勝目を目指したいです」
腰痛で飛距離を落とした中で飾った初勝利。信幸さんは「初めてうれし涙を見ました。ここまで悔し涙ばかりを見てきたので」と、脇元の人知れぬ苦労を振り返った。だが、その全てがこの日、報われた。父譲りの人間力で愛されてきた28歳。遅咲きのゴルフ人生は、ここからが本番になりそうだ。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)
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