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“ブライトンの奇跡”再現は幻「5mが…」 世界最強・南ア戦、7人の証言から浮かぶラグビー日本代表の課題

「5mの差」以外にもあった南アの強さ「国を背負っているプライド」

 MVPはアレンゼだったが、ピッチ上でのパフォーマンスを現地で目の当たりにした印象では、やはり序盤の連続トライでチームに勢いをもたらしたSOファインバーグ=ムンゴメズルの個人技で、日本が浮足立ち主導権を握れなかったようにみえた。トップクラスの選手が並ぶ中でも一際異彩を放つ司令塔が、2027年へ向けた強豪国の凌ぎ合いの中でも、さらに絶対的な存在に成長する期待感は高まるばかりだが、日本代表にとっては、この10番の先発が勝負に大きく影響した一方で、ティア1各国とのテストマッチが増える中でも、真に最高レベルの選手と直接ゲームが出来たことは今後に生かしていく収穫でもあるだろう。

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「5mの差」を指摘した福田だが、メンタル面や選手の試合に臨む姿勢での南アフリカの強さも観察している。

「実際にリーグワンで一緒にプレーする選手が緑のジャージーでプレーする中で、すごく国を背負っているプライドを感じました。ベンチで見ていると、交代で下がって来た南アフリカの選手たちは、他のチームなら仕事を終えて後は観戦しているだけですが、皆ベンチで一体になってプレーしている選手たちを大声で叫んで応援し続けていた。チームの一体感の強さを感じましたね。そこからプライドをすごく感じました。ゲームに出ても出ていなくても、常に全員で戦っている」

 戦術、フィジカル、スキルなどピッチ上での格差と共に、メンタル面、代表としてテストマッチに臨む姿勢や誇りという面でも、世界最高峰、そして最先端を見せつけられた80分。先発15人の総キャップ300ほどの選手たちが、世界ランク1位への大敗からどれだけの学びを得られるのか。1週間での“返済”は容易ではないが、世界3位アイルランドが待ち受ける今週末の戦いぶりをダブリンで見届けたい。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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