“ブライトンの奇跡”再現は幻「5mが…」 世界最強・南ア戦、7人の証言から浮かぶラグビー日本代表の課題
エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)率いるラグビー日本代表は、11月1日にロンドン・ウェンブリーで行われた「リポビタンDツアー2025」第1戦で、世界ランキング1位の南アフリカ代表スプリングボクスに7-61と完敗した。同じイングランドで10年前に起こした世紀の番狂わせ「ブライトンの奇跡」から10年。現在のランク13位から2年後に近づくワールドカップ(W杯)オーストラリア大会へ転機となる快挙の再現を狙ったが、世界最強チームに格差を見せつけられた。世界最強チームからの強烈なパンチから、日本が学ぶものは何か。選手、指揮官の言葉から課題が浮かび上がる。(取材・文=吉田 宏)

7-61で完敗、エディージャパンが学ぶものは何か
エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)率いるラグビー日本代表は、11月1日にロンドン・ウェンブリーで行われた「リポビタンDツアー2025」第1戦で、世界ランキング1位の南アフリカ代表スプリングボクスに7-61と完敗した。同じイングランドで10年前に起こした世紀の番狂わせ「ブライトンの奇跡」から10年。現在のランク13位から2年後に近づくワールドカップ(W杯)オーストラリア大会へ転機となる快挙の再現を狙ったが、世界最強チームに格差を見せつけられた。世界最強チームからの強烈なパンチから、日本が学ぶものは何か。選手、指揮官の言葉から課題が浮かび上がる。(取材・文=吉田 宏)
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サッカーの聖地を舞台にした10年前の再現は、開始直後に吹き飛ばされた。キックオフから4分にゴール前ラインアウトからモールを押し込まれてあっさりと先制を許すと、9分後に次世代の世界最高最強の司令塔と注目されるSOサシャ・ファインバーグ=ムンゴメズルがその才能を早くもトップギアに上げた。日本の不用意なパントからカウンターを仕掛けられ、ゴール前へ蹴り上げたキックを自ら強引に奪い取ってトライをマーク。18分には、右展開でパワーとスピードを駆使して防御を切り裂き連続トライ。この最高クラスの個人技に怯まされるように、桜の戦士たちは深緑のジャージーの重圧を受け続けた。
「タフな試合となってしまいました。キーになるエリアでほとんど劣勢になっていて、ボールを取っても非常にネガティブな状況で使わざるを得ないことになり、自分たちの展開に持ち込めなかった。今回の試合で、南アフリカと日本の差が明らかになったと思う。この差を自覚することが大事で、次のアイルランドへ向けて気持ちを奮い立たせていきたい」
勝負師エディーの話しぶりも、いつもの勝ち気さがかき消されていた。淡々と振り返る衝撃の80分間は、キック、組織の連携と全てに地力の差を見せつけられた。中でも世界王者から受けた最大のメッセージ、つまり最大の課題が浮き彫りになった。メンバーで唯一“2015年”を知るNo8リーチマイケル(東芝ブレイブルーパス東京)に試合後、「最大の学びは何か」とぶつけてみた。
「マイボールを継続するために、ボールキャリアがもうちょっと立ってファイトしたり、ブレークダウンの(サポート選手の)寄りの速さだったり……あとはハイボール。ここはやはり課題ですね」
HC、キャプテンによる会見も含めて、試合後に話を聴けたのは7人。その全てが口にしたのが「キック」「ハイボール」という言葉だった。それほどまでにインパクトのある敗因だった。
ゲームを振り返っても、冒頭に紹介した開始13分のファインバーグ=ムンゴメズルのトライを筆頭に、三菱重工相模原ダイナボアーズから代表に復帰したWTBカートリー・アレンゼの後半18分、27分の連続トライもキックカウンターから許した。キックコンテスト、ルーズボールへの反応でキックが危険だったにも関わらず、終了直前にもキックを選び、横浜キヤノンイーグルスでプレーするCTBジェシー・クリエルに仕留められた。
高さ、コントロール、どんな回転をかけるかというキック自体の質にも大差を見せつけられたが、相手キックをキャッチした後の反応や判断、周囲がどうサポートしていくかという、いかに有効なアタックに繋げるかという考え方自体にも格差を感じさせたトライが積み上げられた。
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