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13個の金メダルよりフレイザープライスが誇るもの 傷つき、愛され、東京のラストランで確かめた「私の一番の恵み」

9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第27回は「国境や勝ち負けを超えて繋がるバトン」。五輪と世界選手権で計13個の金メダルを獲得した38歳の短距離女王、シェリーアン・フレイザープライス(ジャマイカ)は今大会がラストランとなった。世界中で愛されたレジェンドは、勝敗だけでは測れないスポーツの魅力を語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

女子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得したシェリーアン・フレイザープライス【写真:ロイター】
女子4×100メートルリレーで銀メダルを獲得したシェリーアン・フレイザープライス【写真:ロイター】

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第27回

 9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第27回は「国境や勝ち負けを超えて繋がるバトン」。五輪と世界選手権で計13個の金メダルを獲得した38歳の短距離女王、シェリーアン・フレイザープライス(ジャマイカ)は今大会がラストランとなった。世界中で愛されたレジェンドは、勝敗だけでは測れないスポーツの魅力を語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

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 種目も、国籍も、勝ち負けも関係ない。ジャマイカ国旗を誇らしげに掲げるレジェンドの周りには、ただただ敬意が溢れていた。

 最終日の21日に行われた女子4×100メートルリレー決勝。1走を務めてジャマイカに銀メダルをもたらしたフレイザープライスのもとに、次々とライバルたちが駆け寄った。他種目の選手さえその輪に加わる。客席の5万8723人からも割れんばかりの喝采が降り注いだ。陸上界を長年牽引してきた38歳のラストランを、誰もが祝福していた。

 女子100メートル、200メートル、4×100メートルで3冠を達成した24歳のメリッサ・ジェファーソンウッデン(米国)もその一人。「彼女と競い合えたことは神の恵みであり、名誉です。ジャマイカだけでなく、女子スポーツの道を切り拓くために多くの努力を注いでくれました」。米国とジャマイカは長年メダルを争うライバル関係にあるが、背中を追った偉人へのリスペクトが言葉から溢れた。

「私はここ日本でスタートしました」

 2007年大阪。20歳だったフレイザープライスは4×100メートルリレーで世界陸上デビューを飾った。「まだ自分が何者なのか、何をしたいのか曖昧だったことを覚えています」。予選のみの出走だったが銀メダル獲得に貢献。18年が経ち、無名だった若きスプリンターは100メートルで7度の世界一、200メートルと4×100メートルリレーも加えると五輪&世界陸上で計13個の金メダルを手にする絶対女王となった。

 今大会は4×100メートルリレーに加え、主戦とする100メートルにも出場。キャリア最後の個人種目は11秒03で6位入賞を果たした。「長年の経験とともに今回の世界選手権にやってきました。今夜このトラックを、驚異的な女性たちとともに走れたことは祝福すべきことです。求めていた結果ではなくとも、自分らしくフィニッシュできて嬉しく思います」。100メートル決勝後、感慨深げに汗を拭った。

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