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首にバーベル直撃、頸動脈損傷 「世界に復帰の前例なし」選手生命危機のトラウマから再び世界を走るまで【東京世界陸上】

9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第26回は「大怪我を乗り越える術」。女子400メートル障害の31歳、サラ・カーリ(豪州)は4年半前に選手生命が脅かされる大怪我を経験。トラウマを抱える辛い時期を乗り越え、再び世界の舞台で腕を振った。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

女子400メートル障害に出場したサラ・カーリ【写真:中戸川知世】
女子400メートル障害に出場したサラ・カーリ【写真:中戸川知世】

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第26回

 9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開する。第26回は「大怪我を乗り越える術」。女子400メートル障害の31歳、サラ・カーリ(豪州)は4年半前に選手生命が脅かされる大怪我を経験。トラウマを抱える辛い時期を乗り越え、再び世界の舞台で腕を振った。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

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 自らのレーンに並ぶ10台のハードル。客席を埋めた国立競技場の大観衆。その光景全てに感謝を込めた。

 9月15日に予選組5着で突破した。2日後に行われた準決勝は組7着で決勝進出は逃したものの、カーリは「安定した走りができたわ」とどこか満足げな表情を見せた。そんな彼女は4年半前、選手生命の危機にさらされた過去がある。

 8歳の頃に陸上を始め、メキメキと頭角を現した。25歳だった2019年ドーハ大会で世界陸上に初出場し、2020年には夏に開催予定だった東京五輪代表に選出。豪州陸上界の星として、さらなる活躍が期待されていた。

 キャリアが急転したのは2021年2月。1年延期された東京五輪に向け、ジムでウェイトトレーニングをしていると、足を滑らせて前に倒れこんだ。その弾みで、挙げていたバーベルが首に直撃。すぐさま病院に直行した。

 診断の結果は「頸動脈解離」。首から脳に血液を送る動脈の壁が裂け、脳梗塞やくも膜下出血を引き起こす恐れもある大怪我だ。幸い緊急手術で事なきを得たものの、一歩間違えば命も危うい事故は、人生に小さくない影響をもたらした。

「それまでアスリートがこの怪我から復帰したという報告は世界になかった。だから分からないこともたくさんあったの。トラウマになることもあったわ」

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