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伊藤雅雪は世界的なスターになれるのか ロマチェンコとのメガファイト実現の可能性

夢ではないロマチェンコ戦の道のり

 例えばこんなシナリオはどうだろう。ロマチェンコがまずライト級で4団体統一し、伊藤もベルチェルに勝ってスーパーフェザー級の統一王者に就任する。その後、2人の統一王者がいずれかの階級で激突すれば――。その頃には伊藤の知名度も大きく上がり、ロマチェンコ戦は米国内でも大きな注目を集めるファイトになる。多くが順調に運べば、ロマチェンコ対伊藤戦は日本ボクシング史上最大級の一戦になるはずである。

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 ここではかなり先走って話を進めたが、もちろんまずは伊藤が米国での防衛戦をクリアしないことには始まらない。アマ実績のあるサウスポーのヘリングは、地味だが楽に勝てる選手ではない。この相手にエキサイティングな内容で勝つことの大切さを、伊藤もしっかりと理解している。

「この試合は勝つことが目的じゃない。安パイな試合をするのか、僕の気持ちをみせる試合をするのか。そこで今後に開ける未来がすごく変わってくると思っています。どれだけリスクがあっても、勝ったときのリターンが大きいんで、倒しに行かないと。その気持ちは絶対に出さなければいけないと思います。トップランクと契約してヘリングを倒したら、見えてくる世界が変わってくる。今回はその第一歩ですね」

 今後は様々なシナリオが考えられるが、1、2戦後にロマチェンコ対伊藤戦が急転直下で決まってしまっても驚かない。だからこそ、まずは好内容で当面の敵を倒しておく必要がある。アマ経験なしで叩き上げた28歳の好漢は、米国でのスターダムへの第1歩を踏み出すことができるか。伊藤にとって、2019年が極めて重要な年になることはもう間違いない。

(杉浦 大介 / Daisuke Sugiura)

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杉浦 大介

1975年、東京都生まれ。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、ボクシング、MLB、NBAなどを題材に執筆活動を行う。主な著書に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)、「イチローがいた幸せ」(悟空出版)。

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