「僕らは地球代表だ」世界陸上を走った6人の難民選手団 紛争に追われる1.2億人、叫ぶ「同じ人間だ」の意味
9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開。第22回は「難民選手団として出場する意義」。今大会、6人の選手が「ART(難民選手団)」のメンバーとして出場。特定の国を背負わず、各国のライバルとしのぎを削る意義とは――。選手たちに本音を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第22回
9月に国立競技場で行われた陸上の世界選手権東京大会。9日間の熱戦を現地取材した「THE ANSWER」は、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を展開。第22回は「難民選手団として出場する意義」。今大会、6人の選手が「ART(難民選手団)」のメンバーとして出場。特定の国を背負わず、各国のライバルとしのぎを削る意義とは――。選手たちに本音を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
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各国の代表がしのぎを削った世界陸上。選手たちのユニホームの胸元には、母国の国旗が付けられている。その一方で、特定の国を背負わない6人の選手がいたことをご存知だろうか。
それが「ART」だ。
難民選手団を指す「Athlete Refugee Team」の略称で、通常「JPN」「USA」など選手名と一緒にアルファベットで表示される出身国の欄が、この3文字になる。鮮やかな刺繍や模様のない黄色いシャツを着用。胸元にも国旗はなく、他の選手たちとは対照的だ。
深刻化する難民危機に対応するため、世界陸連が2014年に結成した。紛争や迫害などにより故郷を追われ、国や地域の代表として参加できない難民アスリートで構成。2017年ロンドン大会で初出場を果たして以降、全ての大会で数人の難民選手を送り出している。
今大会、男子5000メートルに出場した32歳のジャマル・モハメドもその一人だ。10代の頃に、紛争の地と化した母国スーダンを脱出。2019年ドーハ大会から出場を続けるチーム最古参は「僕にとってはすごく大きな意味があるものだ」とARTの価値を強調する。
「最大の舞台でパフォーマンスを披露する機会がもらえて、周りの人たちにも刺激を与えられる。僕にとって重要なものさ」
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