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「出場歴=世界陸上×12+五輪×6」 武庫川が拠点、43歳のモンゴル鉄人バトオチルが走り続けるワケ

 陸上の世界選手権東京大会は21日まで国立競技場で熱戦が繰り広げられた。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を届けていく。第17回は男子マラソンで12回目の出場となったモンゴルの43歳セルオド・バトオチル(新日本住設)。五輪にも6度出場している不屈のレジェンドに、走り続けられる理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

世界陸上12回目の出場を果たしたセルオド・バトオチル【写真:中戸川知世】
世界陸上12回目の出場を果たしたセルオド・バトオチル【写真:中戸川知世】

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第17回

 陸上の世界選手権東京大会は21日まで国立競技場で熱戦が繰り広げられた。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を届けていく。第17回は男子マラソンで12回目の出場となったモンゴルの43歳セルオド・バトオチル(新日本住設)。五輪にも6度出場している不屈のレジェンドに、走り続けられる理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

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 不惑を過ぎても情熱は冷めない。1983年に始まり、20回目を迎えた世界陸上。その歴史の6割で名を連ねているのが43歳のバトオチルだ。初出場は22年前のパリ大会。そこから一度も欠かさず12大会連続で出場を続けている。「他の国や選手と戦っているのではない。私は自分自身の体と戦っているんだ」。15日、2時間30分09秒の65位で完走したレジェンドは、走り続けられる理由をそう説明した。

 2002年から23年間続けてきたマラソン人生。この日はまさかの事態も発生した。午前7時30分の号砲が、ケニア選手の明かなフライングでやり直しに。「94回マラソンを走ってきて、今日が初めて。本当にビックリした」と思わず笑った。心配された暑さは2007年の大阪大会と比べてマシだったというが、湿気の多さに苦戦。「いい練習をしてきたのに体が重く……残念でした」と頭をかいた。

 2013年に日本に拠点を移し、2014年から実業団NTNに所属。2021年の東京五輪後にはNTNを退部し、2022年から新日本住設グループに在籍している。取材にも日本語で対応。「モンゴルと日本の会社の名前を背負って、あちこちの大会で走ってきた」。兵庫県西宮市在住で、武庫川の河川敷を「練習するには一番いいコース」と絶賛する。

バトオチルは2013年に日本に拠点を移し、武庫川の河川敷でトレーニングを積んでいる【写真:中戸川知世】
バトオチルは2013年に日本に拠点を移し、武庫川の河川敷でトレーニングを積んでいる【写真:中戸川知世】

 中国、英国、米国、ケニア、韓国と渡り歩き、たどり着いたのが日本だった。「いろんな国のマラソンの先生とコーチ、選手たちの練習は本当に違う」。標高や気候などの諸条件に合わせて各国で異なる練習法の中で、バトオチルに合っていたのが日本のやり方だった。「日本の食事とトレーニングは本当にいいです」。拠点を移して13年目。この国で学んだことがある。

「別の人たちの前に出るためじゃなく、自分の体がどうやったらいい走りができるのかを考えて練習するのが一番いい」

 マラソンはライバルとの順位を競う競技であると同時に、自分自身との戦いでもある。3年後のロス五輪出場も目指す大ベテランは、常に昨日よりもいい自分を追い求めて走り続ける。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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