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東京世界陸上で目立った「01年度組」 日本勢金メダルゼロでも…ロス五輪への布石となった“成功”

男子3000メートル障害、8位に入賞した三浦龍司(中央)【写真:中戸川知世】
男子3000メートル障害、8位に入賞した三浦龍司(中央)【写真:中戸川知世】

水泳、柔道、レスリングも粒ぞろいな「01年度組」

 01年度生まれのアスリートは優秀だ。野球界では佐々木朗希(ドジャース)、宮城大弥(オリックス)、岡林勇希(中日)ら同世代はタレントぞろい。「朗希世代」は、大谷翔平(ドジャース)、鈴木誠也(カブス)ら1994年度生まれの「大谷世代」に続く黄金世代と言われる。

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 五輪競技も粒ぞろい。東京五輪競泳銀メダルの本多灯、同五輪体操2冠の橋本大輝、パリ五輪柔道団体銀メダルの斉藤立、レスリングはパリ五輪金メダリスト8人のうち、清岡幸太郎ら何と半数の4人がこの学年だった。

 チーム競技でもバレーボールの高橋藍やバスケットボールの河村勇輝、サッカーの久保建英と日本代表の中心選手が並ぶ。自転車BMXの中村輪夢、ブレイキンの半井重幸らは世界の舞台で活躍しながら新しいスポーツの「顔」として競技の普及に貢献している。

 高校卒業時に新型コロナの感染拡大が起きた01年度生まれ。新生活が始まっても満足な練習はできず、新しい人間関係を作ることも難しかった。競技人生の転換期に苦労しただけに、乗り越えてきた選手たちは強い。人に頼らず自分の力で道を切り開く。世界に飛び出し、チャレンジすることをいとわない。精神的にも肉体的にもタフだ。

 同じ時期に同じ苦難を乗り越えたからこそ、絆も強くなるのだろう。陸上の三浦が順大の同級生、体操の橋本の活躍を見て「自分も金メダルを」と思ったように、競技の枠を超えて刺激し合う。意識するのは、他競技も含めて同い年のトップアスリート。「陸上界の常識」ではなく「同世代としてのスタンダード」が物差しになる。

 日本陸連の山崎一彦強化委員長は大会を総括し、ダイヤモンドリーグの転戦などで力をつけた三浦や村竹らの活躍を評価。「コンスタントに入賞者が増えたことは、次のメダルにつながる」と話し「最終到達点は(28年)ロサンゼルス五輪」と力を込めて言った。3年後に26歳、27歳になる「01年度組」。今回の「成功」に満足することのない世代が、日本の陸上競技を引っ張る。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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