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東京世界陸上で目立った「01年度組」 日本勢金メダルゼロでも…ロス五輪への布石となった“成功”

陸上の世界選手権、9日間に渡ったお祭りが終わった。盛り上がりが心配されたけれど、終わってみれば大盛況。チケット売り上げも好調で、国立競技場は連日満員。東京五輪が無観客だったこともあるだろうが、テレビの力もあって国立での「世界大運動会」は大成功に終わった。

男子110メートル障害5位に入賞も、インタビューで涙を流した村竹ラシッド【写真:中戸川知世】
男子110メートル障害5位に入賞も、インタビューで涙を流した村竹ラシッド【写真:中戸川知世】

連日満員だった国立競技場、イベントとして成功だったが…

 陸上の世界選手権、9日間に渡ったお祭りが終わった。盛り上がりが心配されたけれど、終わってみれば大盛況。チケット売り上げも好調で、国立競技場は連日満員。東京五輪が無観客だったこともあるだろうが、テレビの力もあって国立での「世界大運動会」は大成功に終わった。

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 ただ、日本選手の成績には物足りなさも残る。「メダル2個を含む入賞11は前回大会に並ぶ最多タイ」と聞けば好成績のようにも感じるが、金メダルがないのは17年ロンドン大会以来4大会ぶり。「新しい歴史を作ることができた」と喜べるのはイベントとしての成功で、強化の面ではもろ手をあげて喜んでいる場合ではないように思う。

 19年ドーハ大会の2個を超える金メダル数、03年パリ大会の4個を超えるメダル数、入賞数などでごまかさない「最高成績」を見たかった。選手たちが「地鳴り」と話した国立の大歓声、日本選手に有利なはずの気候条件、ホームの利があることを考えれば、今大会の成績は寂しい。

 それでも期待したいのは、入賞に「終わった」選手が悔しがったこと。メディアは「入賞数」で喜ぶかもしれないが、選手は満足していない。目指すのは、あくまでもメダル。かつての日本ならマラソンや一部の優秀な選手以外は入賞で満足していたかもしれないが、今は目標のメダルに向けての入賞と考えている選手が多い。

 先を見据えることができるのは、今回活躍した選手が若いから。男子110メートル障害5位の村竹ラシッド、男子400メートル6位の中島佑気ジョセフ、男子3000メートル障害の三浦龍司はいずれも23歳。女子1万メートルの廣中璃梨佳、女子マラソン7位の小林香菜、男子20キロ競歩7位の吉川絢斗は24歳で、28年ロサンゼルス五輪だけでなく32年ブリスベン五輪も狙える年齢だ。

 実は廣中を除く5人は2001年度生まれ。個人種目入賞9人の半分以上が同級生なのだ。8位入賞した混合1600メートルリレーの井戸アビゲイル風果と今泉堅貴も同じ年。互いに切磋琢磨するこの「学年」が、日本陸上界を引っ張っているといってもいい。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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