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「なんで女子は弱いの?」 男子の陰に隠れ…“サブ扱い”日本女子競歩の評価を覆した藤井菜々子の快挙【東京世界陸上】

50センチの超僅差で3位にゴールした藤井、左胸には喪章をつけていた【写真:中戸川知世】
50センチの超僅差で3位にゴールした藤井、左胸には喪章をつけていた【写真:中戸川知世】

海外選手に言われた言葉「なんで女子は弱いの?」

 初めて世界に挑んだのは20歳の時。2019年のドーハ大会から続けて出場してきた。五輪にも21年の東京大会、昨夏のパリ大会と2大会連続で出場。世界で2度入賞するも、メダルには届かなかった。

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 いつも注目を浴びるのは男子。ドーハ大会から2大会連続で金メダルを獲得した山西利和を筆頭に世界トップレベルの実績を誇る。

「なんで女子は弱いの?」。海外選手の言葉に、日本女子競歩のエースとして責任を感じることもあった。

「女子は放送がなかったり、BSだったり。メディアの方も男子が大本命で女子は(扱いが)サブみたいなところがあって」。今大会で代表引退を明言していた第一人者・岡田久美子とはいつも悔しさを共有。「必ずメダルを獲ろう」。そう誓い合ってきた。

 1年前、パリ五輪では警告3枚を受けて32位に沈んだ。「パリみたいな思いをしたくない」。絶望感を抱いたあの日から1年。フォーム、そして競歩という競技に向き合ってきた。今年8月には父のように慕ったエディオンの元監督・川越学氏が他界。偉大な先輩、恩師、そして1年前の自分の想いを胸に、新たな歴史を作った。

 改めて、藤井が感じる競歩の魅力とは――。

「競歩は判定のつく競技。疲れてくると歩型が甘くなってしまう。そこでペナルティが入ると展開がガラッと変わる。そこが面白いと思います」

 最後まで何が起こるか分からない。時に残酷とも思える競技性に魅力が詰まっている。

 レースから9時間後のメダルセレモニーまでに届いたメッセージは140件。「3桁は初めて。反響がすごくて衝撃を受けた」。今後はメダリストとして注目される立場になる。「メダルの常連者になりたい。自分がトップと思わずに謙虚にいきたい」。日本の女子競歩を背負っていく。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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