「好きなものを楽しんで」 バスケ元日本代表が福島の子どもたちに伝えたかったこと
バスケットボールの元日本代表・渡邉拓馬氏が14日に福島市内の松川小で行われた「東北『夢』応援プログラム」に出演した。地元・福島出身で、Bリーグ・アルバルク東京など日本のバスケ界の第一線で活躍、3人制バスケ「3×3(スリー・バイ・スリー)」で東京五輪出場も目指す名シューターは、「松川スポーツ少年団ミニバスケットボール部」の男女22人に直接指導。1年間にわたる長期指導を締めくくった。
「東北『夢』応援プログラム」渡邉拓馬氏が故郷の福島で子どもたちを指導
バスケットボールの元日本代表・渡邉拓馬氏が14日に福島市内の松川小で行われた「東北『夢』応援プログラム」に出演した。地元・福島出身で、Bリーグ・アルバルク東京など日本のバスケ界の第一線で活躍、3人制バスケ「3×3(スリー・バイ・スリー)」で東京五輪出場も目指す名シューターは、「松川スポーツ少年団ミニバスケットボール部」の男女22人に直接指導。1年間にわたる長期指導を締めくくった。
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福島は今、まさに桜が満開。福島市松川町の松川小学校の体育館にも子どもたちの笑顔の花が咲いた。同市出身の渡邉氏は約2時間、みっちり指導。小さな選手たちは溌溂と動き回った。
「僕自身が大切にしている、直接子ども達に会って、その時間を大切にする。そういうところはすごく体現できたんじゃないかと思います。バスケットがもつ楽しさ、スポーツの魅力、それに関わる家族との関係とか、いい感じで伝えられたんじゃないかと思います」
公益財団法人「東日本大震災復興支援財団」の協力により、アスリートなどからスポーツ指導機会を提供。子供たちの様々な夢と目標の達成をサポートしていく。水泳、陸上、ラグビーなど多岐にわたる競技からバスケットボール編で、指導役の「夢応援マイスター」として登場したのが渡邉氏だ。昨年の4月から約1年間、動画による遠隔指導も活用し、技術指導。福島と東京、遠く離れていてもその成果発表がこの日だった。
ミニゲームでは子どもたちの楽しそうな声が体育館に響いた。それを嬉しそうに見守る渡邉氏。これこそが、理想の光景だった。
「逆にこっちがこのままでいいのかなと思うくらい、子ども主導であのくらい楽しんでいる雰囲気が出ていた。僕自身も色々なことを伝えてはきましたが、やっぱりシンプルなゲームが子ども達にとっては一番楽しい。楽しむことを重視してやってきて、それでバスケを好きになってくれるのが一番です」
そして成果発表では遠隔指導を続けてきた8人がドリブルやシュートを渡邉氏の前で目の前で挑戦していった。チームメートにも見守られながら、自らの課題をこなしていく選手たち。成長した姿を堂々と披露し、拍手で称えられると、みな恥ずかしそうにしながらも少し胸を張っていた。
2年間の指導を終え渡邉氏も感慨「成長が凄く感じられます」
渡邉氏にとっても感慨深い光景だった。初めてこのチームの子どもたちを指導し始めてから2年。その成長ぶりはまさに目を見張るものだった。
「当時、4年生だった子が6年生になった。成長が凄く感じられます。特に女子。幼かったのが、バスケに取り組む表情が真剣になって、うまく出来なかった時は悔しさが表情にも出るようになっていた。みんな真剣に向き合っている。そういうのを見るのも感動するというか、心に響くものがありましたね」
イベント終了後には子どもたちと輪を作って弁当を食べた渡邉氏。生徒たちも偉大な“渡邉先生”にすっかり慣れ、次々に質問を投げかけていた。最後に同氏は改めて、子どもたちにこう呼びかけた。
「好きなものをとことん楽しんで欲しい。この先、どんなことでも目指すものができたら楽しんでこそ。そのきっかけがバスケになって続けてくれればうれしいですが、バスケじゃなくてもいい。こういったことをきっかけにして、スポーツを通して体を動かすことの幸福度、そういうものを感じ取ってもらえればやりがいになる。自分にとっても福島への恩返しができたなと思える。スポーツを通して、家族を含め、周りと繋がっていくことの大切さを覚えておいてほしい。それを“心の芯”に持って成長して欲しいと思います」
松川小での指導は一度、終わりを迎える。最後の最後まで名残惜しそうに子どもたちは渡邉氏を見送っていた。貴重な指導を受けられた子どもたちはもちろん、元日本代表の名シューターにとってもかけがえのない時間となった。
(THE ANSWER編集部)