34年ぶり決勝で浮かんだ「ジョブズの言葉」 自己嫌悪すら糧に…失敗に学び、中島佑気ジョセフが結んだ世界6位の“線”【東京世界陸上】

すべての過去が点と点でつながり掴んだ世界6位「一見、失敗に思える経験も…」
遡ること3年。オレゴンの地で、初めての世界陸上に挑んだ20歳の新星は、男子4×400メートルリレー決勝の4走を任された。メダルに0秒79及ばず4位。「完全に打ち負かされたわけではないけど、自分の力不足を感じた」。近くて遠い世界の壁を肌で実感した。
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個人では23年のブダペスト大会で準決勝敗退、24年のパリ五輪は予選敗退。「自己嫌悪に陥るほどの苦いものを経験した」と当時を振り返る。
今季は春先にアメリカ遠征を実施するも、肺炎を起こして2週間程度体調不良に。帰国後には練習中に右脚ハムストリングスの肉離れを起こした。自国で開催される大舞台を前に、まさかのブレーキ。「世界陸上を考えるレベルでないくらいのどん底」
自身の行動に後悔したことだってある。6月のアジア選手権は辞退し、7月の日本選手権は5位。それでも焦る気持ちを抑えて準備を進め、8月上旬の富士北麓ワールドトライアルでようやく参加標準記録(44秒85)を突破した。
多くの苦悩を乗り越えてきた。だから感じられたこともある。
「一見、失敗に思える経験も自分の糧になっている。一つ一つの経験が、一つ一つの動きや戦略に生きていると思う」
すべての過去が点と点で線につながり、掴んだ堂々の世界6位。ただ、海外の強豪と渡り合ってなお、「ラストで追い込んでも、追い込んでも届かなかった。充実感を持って走れたけど、それ以上に悔しい」と満足はしていない。
さらに高い場所へ。この夏、芽生えた感情は次なる歓喜へのピースとなる。
(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)
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