「全てが完璧」「10点中7点」 東京世界陸上を海外記者はどう見た? 現地で聞いた本音の評価
不満の声も「Wi-Fiが…」「正しい決断ではなかった」
エーダー記者も「運営は素晴らしかった。メディアセンターも見事に機能していた」と頷く。「近くの食事処も手頃な価格で、絶品なラーメンが7ユーロ(約1220円)で食べられる。タクシーも高くない。ホテルまで15分ぐらいだったが、9ユーロ(約1570円)ほどだ。電車は少し混雑しすぎるから使わなかったが、総じてファンタスティックだったよ」。唯一の不満は、通信環境についてだった。
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実はエーダー記者が会見で観客を絶賛した後にコー会長に尋ねたのも「Wi-Fiの環境を整備するつもりはあるか」という点だった。「私が抱えた唯一の問題はWi-Fiとウェブサイトだった。サーバーにより多くのお金をかけて、改善する必要があると思う」。メディアもスピード勝負を求められる時代。写真・動画のアップロードや記事の更新に時間がかかれば、ストレスの種になりかねない。
フランシス記者は交通面の分かりづらさを指摘した。会場とホテル間の移動は電車が推奨され、ICカードが配布された。電車が動いていない時間は新宿と池袋行のシャトルバスが運行されていたものの、同記者は行き先が分からなかったそう。終電後の会場外にはタクシーも多数待機していたが異国で勝手が分からず、結局徒歩で帰路に就いた日もあったという。「10点満点で7点かな」と総括した。
選手からも運営に関して改善を求める声が挙がった。女子棒高跳びで3連覇を達成したケイティ・ムーン(米国)は、開幕前にホテルの都合で一度部屋から退出し、再チェックインを求められたと告白。「全てがスムーズに行くことはないと分かっているが、イライラするものだった。全選手を同じホテルに宿泊させるのは正しい決断ではなかったと思う」と苦言を呈した。
ウォームアップ用のトラックが会場から約3キロ離れた代々木公園に設定されたことも話題に。エーダー記者は「ウォームアップ用のトラックは会場のそばにあるべきだと思う。私もここに到着するまで知らなかったので驚いた」と疑問の声を挙げた。最終日には雨のために男子円盤投げで転倒者が続出。「濡れるとサークルは氷のよう」「改善すべきだと思う」といった声が出場者から聞かれた。
開幕前日の会見で、日本陸連の有森裕子会長は「私たちはこの大会を次の世代、次の時代にどうできるか。最大限に考えた上でこの大会を意味あるものとして、次に繋げるものとして作り上げていかなければいけません」と力を込めた。熱狂と感動を生んだ9日間。未来にバトンを繋いでいくためには、収穫とともに課題にも向き合うことが求められる。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
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