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2軍球団から唯一の育成指名→1軍勝利 驚きの成功物語が“相棒”にくれた自信…ドラフト指名へ数字より大切なこと

他の投手にはまねできない軌道で投げるオイシックス時代の下川【写真:羽鳥慶太】
他の投手にはまねできない軌道で投げるオイシックス時代の下川【写真:羽鳥慶太】

下川の練習相手だった上村知輝に与えた自信…成功が物差しに

 そして、下川の1軍勝利がオイシックスの選手たちに与えた自信も見逃せない。同学年で、ずっと練習の“相棒”だった上村知輝投手は「ずっと一緒に練習してきた選手ですからね。それが1軍でやって初勝利まで挙げたんですから」と、大いに刺激を受けたという。どのくらいできれば、プロの1軍に通用するのかという物差しができたのだ。今でもお互いに動画を見て、投球フォームの変化を指摘しあっているのだという。

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 上村はこの2年間、オイシックスにとっては不動のクローザーだ。昨季、イースタン・リーグでは20セーブを挙げタイトルに輝いたが、ドラフト指名はなかった。「大卒3年目でしたし、昨年行けなかったらもうダメかと思ってたんです。かからなかったら終わりだと……」という覚悟で臨んでいたシーズン。絶望感もあったという。

 サイドスローの変則フォームを生かそうと、もう一度前を向きなおした今季、53試合に投げ28セーブ、防御率2.10とさらに実績を積み上げてドラフトを待つ。「後半に調子を上げないと見てもらえない。でも実際、去年とやっていることは変わらないんですよ」と言うが、140試合が組まれる長いシーズンを戦う術が自然と身についていた。昨季はバテバテだった夏場を乗り越え、実りの秋にかける。

 武田監督は上村について「このリーグで投げるペースが体に染みついたかな。状態が悪い時でも、勝てばいいんだと。最後割り切って投げられている」と見ている。試合を、最低1点のリードを保って終わらせるのが自分の仕事だと、わかったというのだ。あとは、需要に応えられる選手になるだけ。「NPBは困ったときに、どこでも投げてくれる選手を探している。クローザーとして抑えるだけじゃなく、何とか最少失点で帰ってくるとか、そのあたりをしっかり見せてほしい」と、最後の課題を与える。

 2軍は来季、現在のイースタン、ウエスタンの2リーグ制から、1リーグ3グループ制に改変されると決まっている。上村が今季残している28セーブは、すでに2023年の清宮虎太朗投手(楽天、現日本ハム)が残した22セーブのイースタン記録を超えた。リーグ記録として後世に残るかどうかは、現在トップの秦(楽天)を抜けるかにかかる。現在の差は「2」。数字も、中身もしっかり残して、NPBの世界へ羽ばたけるか。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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