“キング・オブ・マイナースポーツ”をメジャーに 美女剣士が近代五種に挑む理由
周囲からは「なんでそんなつらいことやってるの?」と…
馬の数は出場選手分。全頭分を記憶、記録し、競技までに思い返すのだという。「同じ失敗はしないように。以前、跨っていた男子選手に、実際の馬上の感触を聞くこともあります」と明かす。馬術競技は得手不得手が出やすいと分析しており、点差もつきやすい。五種の中でも特に重要視している。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
逆に苦手としているのがランニング。最終的に順位に直結する種目だけに、2020年の東京五輪へ向けて、こう力を込めた。
「苦手な分野をしっかり克服しないと、上位には入れないと感じている。ランニングが最後の種目。苦手な人と得意な人が競ったら、どうしても負けてしまう。そこさえ克服すれば、技術系の馬術、フェンシング、射撃は得意なので、ランニングさえ得意になれば、戦っていけるかなと。世界でも日本でも、そう思ってます」
昨年10月末~11月にかけて行われた日本選手権では3位。前回の2016年のリオデジャネイロオリンピックの女子の出場枠はわずかに「1」。競争はし烈だが、才藤には夢がある。
「近代五種って本当にマイナーな種目だと思います。5種目言える人はなかなかいない。やってみたいと言っている人も聞いたことがない。例えば友達に五種目、これとこれとこれとって伝えても、絶対やりたくないって。『絶対私にはできない。逆になんでそんなつらいことやってるの?』って聞かれます…(笑)。大変だけど、代えがたい魅力がある。誰かがやらないとメジャーにもならない。自分が広めていきたいという思いがあります」
競技をメジャーにしたい。その思いが強いからこそ、積極的にメディアに露出。アスリートよりもタレントのような扱いをされることもあるが、それも競技のためと厭わない。
「海外の選手に憧れているところもあります。モデルとの両立している選手も少なくない。単純にかっこいいなって。海外での試合で実際に会って写真を撮ってもらうこともあります」
自らが海外の有名選手に憧れるように、才藤を目指して近代五種を始めるような少年少女が現れるかもしれない。「そういう風に思ってもらえるようになれたら嬉しいです」とはにかんだ笑顔を見せる。
キング・オブ・マイナースポーツをいつかメジャーに変えるため、強く、美しく、過酷な競技に挑み続ける。
近代五種のルールは以下の通り
【近代五種とは】
フェンシングに始まり、水泳、馬術、レーザーラン(射撃、ランニング)の5種目を、わずかなインターバルを挟んで次々にこなしていく。最後のレーザーランの順位が最終的な順位となる。各競技のルールの詳細は以下の通り。
【フェンシング】
・エペによる1分間一本勝負の総当たり戦。勝率70%を250点とし、得点が増減。1勝あたりの得点は、出場人数により試合数が変わるため異なる。
【水泳】
・200メートル自由形。男女共に2分30秒を250点を基準とし、0.5秒1点(1秒2点)得点が増減。
【馬術】
・貸与馬による障害飛越競技。騎乗馬は抽選により決定。12障害15飛越(ダブル、トリプル障害を含む)で行われ、300点満点からの減点方式。
【レーザーラン】
・13分20秒を500点とし、上記3種目の合計点を1点=1秒として、上位選手からタイム差でスタート。射撃とランニングを交互に4回行う。射撃は、レーザーピストルを使用し、的に5回命中させる。射撃の制限タイムは50秒。ランニングは、800mを4回行う。ゴールした順番が最終順位となる。
(THE ANSWER編集部)