殺害、破壊行為…1日90km徒歩で紛争地を逃れて マラソンに人生を救われた“難民の星”「誰でも王者になれる」【東京世界陸上】
陸上の世界選手権東京大会は13日から国立競技場で熱戦が繰り広げられている。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を届けていく。第6回は「逆境における思考」。15日の男子マラソンで39位に入ったキルフラ・エマニュエル・ンタグンガ(難民チーム)は17歳の頃、母国コンゴ共和国の紛争により避難生活を経験。逆境を乗り越え、夢の舞台にたどり着いた理由に迫る。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

東京世界陸上連載「東京に集いし超人たち」第6回
陸上の世界選手権東京大会は13日から国立競技場で熱戦が繰り広げられている。2007年の大阪大会以来18年ぶり3回目の日本開催。現地で取材する「THE ANSWER」では、選手や競技の魅力を伝えるほか、新たな価値観を探る連載「東京に集いし超人たち」を届けていく。第6回は「逆境における思考」。15日の男子マラソンで39位に入ったキルフラ・エマニュエル・ンタグンガ(難民チーム)は17歳の頃、母国コンゴ共和国の紛争により避難生活を経験。逆境を乗り越え、夢の舞台にたどり着いた理由に迫る。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
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“難民の星”が意地を見せた。スタートから慎重にレースを展開したものの、徐々にペースアップ。途中棄権22人が出た消耗戦ながら、最後の10キロで15人以上を抜く粘りの走りを披露した。難民チームでトップの39位でゴールし、レース後は「とても良かったね」と笑顔で振り返った。
生まれ育ったのは、アフリカ大陸の中部に位置するコンゴ民主共和国。今もなお、民間人の殺害を伴う武力衝突が頻発する危険な地域だ。幼い頃に目の当たりにした悲惨な状況を今でも鮮明に覚えているという。
「全てを目の当たりにした。無駄に死んでいく人々、何かを破壊していく人々、壊される家や大切なもの……。本当に酷い出来事だった」
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、国境を越えて他国に避難する「難民・庇護希望者」は今年5月時点で115万人以上。国内で自宅を離れて避難生活を送る「国内避難民」に至っては約640万人にも上る。
ンタグンガも「難民・庇護希望者」のうちの一人。友人や慣れ親しんだ環境を断ち切られ、自身の意思とは無関係に母国からの避難を余儀なくされる。17歳の若き青年にとって想像を絶するものだった。
「とても辛い。誰もが母国にいたいと思うだろう。母国から避難するのは、心に深く突き刺さる出来事だよ」
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