村竹ラシッド、妥協許さぬ者だけが流せる涙 パリ五輪と「真逆」の5位「こんな悔しいことない」【東京世界陸上】

届く範囲にあったメダル「取れる根拠を積み上げてきたつもり」
この1年間、出来る限りの努力をやり切ったという自負があった。「自分なりにメダルを取れるだけの根拠を今まで積み上げてきたつもりだった」。だからこそ、同じ5位でも受け止め方は「全く真逆」。緊張もなく、感覚も悪くない状態で決勝に臨めたが、「中盤、両脇の選手が速くて、うまくその流れに乗れなかったというか、自分のやりたいことができなかった」と唇を噛んだ。
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優勝したコーデル・ティンチ(米国)のタイムは12秒99。2位のオーランド・ベネット、3位のタイラー・メイソン(ともにジャマイカ)は2人揃って自己ベストだった。メイソンと村竹の差は0.06秒。表彰台は確実に手の届く範囲にあった。
目前でするりと逃げて行った栄光。「やってきたつもりだったのが足りなかった。もっともっと練習するべきだったとか、もっと試合に出るべきだったとか、まだちょっとメダルを狙うには時期尚早だったりとか、いろんなことを考えています」。明確にこれが至らなかったという後悔がすぐには出てこないことが、逆にどれだけ妥協なく努力を重ねてきたかを示していた。
「今日の結果も踏まえて、自分の実力なんだと認めるところから始めないといけない。全部丸め込んで、何年かかってでもこの脚が許す限りメダルを狙い続けたい」
自分のことで涙を流すことはなかなかないという23歳。「人生でこんなに悔しいってことはないかもしれない。本当にこれだけ陸上に打ち込んできたのに、何が足りなかったんだろうという思いが本当に強くなっちゃって……」。あの悔し涙には、村竹が積み重ねてきた日々の重みが詰まっていた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
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