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襲われた原因不明の病「もう終わりかな」 世界に挑んだ福部真子、1人でもいいから伝えたいメッセージ【東京世界陸上】

陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)は15日、女子100メートル障害準決勝が行われ、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)は13秒06(向かい風0.5メートル)で組7着。決勝進出には届かなかったものの、2022年の世界陸上オレゴン大会、24年のパリ五輪に続くセミファイナリストに。ただ、このレースには、過去2度の大舞台に勝る大きな価値がある。昨年12月に原因不明の「菊池病」の発症をSNSで公表。日常生活すらまともに送れない日々を乗り越えて、走り切った1本には込めたメッセージがあった。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

原因不明の「菊池病」を抱えながら走り切った福部真子【写真:中戸川知世】
原因不明の「菊池病」を抱えながら走り切った福部真子【写真:中戸川知世】

陸上の世界選手権東京大会

 陸上の世界選手権東京大会(国立競技場)は15日、女子100メートル障害準決勝が行われ、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)は13秒06(向かい風0.5メートル)で組7着。決勝進出には届かなかったものの、2022年の世界陸上オレゴン大会、24年のパリ五輪に続くセミファイナリストに。ただ、このレースには、過去2度の大舞台に勝る大きな価値がある。昨年12月に原因不明の「菊池病」の発症をSNSで公表。日常生活すらまともに送れない日々を乗り越えて、走り切った1本には込めたメッセージがあった。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

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 14日の大会2日目、女子100メートル障害予選。不安を拭えないまま、国立競技場に足を踏み入れた福部を待っていたのは満員の観客だった。

「なに、くよくよしてるんだ」

 体温計で測っていなくても、熱があることは体感で分かる。“ハンデ”を抱えながらもタイムで拾われて準決勝進出。過去の自分に並んでみせた。

 迎えた15日の準決勝。予選後は頭痛に悩まされ、満身創痍の状態だった。それでもライトアップされたトラックを福部は走った。13秒06。目指した日本記録(12秒69)には及ばなかったが、観客からは大きな拍手が送られた。

2022年の世界陸上オレゴン大会、24年のパリ五輪に続くセミファイナリストになった【写真:中戸川知世】
2022年の世界陸上オレゴン大会、24年のパリ五輪に続くセミファイナリストになった【写真:中戸川知世】

 込み上げてきたのは悔しさ。ただ、感じたものは他にもある。

「今回は良い走りができなかったけど、オレゴンやパリよりも大きな価値があったと思う。この舞台で、大歓声の中で2本走れたことは自分の競技人生で財産になりました」

 高校時代にインターハイを3連覇。以降、苦しむ時期もあったが、22年6月の日本選手権で26歳にして初優勝を果たした。同7月のオレゴン世界陸上では準決勝進出し、12秒82の日本記録を樹立。昨年7月には12秒69とさらに更新し、同8月のパリ五輪でも再びセミファイナリストになった。そんな日本最速のハードラーを襲ったのは、原因不明の病だった。

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