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ラグビー国内3連覇監督から社長へ 東芝上層部も後押し「30億規模のクラブに…」見据える進化とビジョン――BL東京・薫田真広新社長

昨季のリーグワンで連覇を飾ったBL東京、薫田社長(2列目右端)は満足することなくクラブの進化を目指す【写真:東芝ブレイブルーパス東京提供】
昨季のリーグワンで連覇を飾ったBL東京、薫田社長(2列目右端)は満足することなくクラブの進化を目指す【写真:東芝ブレイブルーパス東京提供】

経営トップとして着手する事項「先ず話をしているのは毎月数字を追うこと」

 チーム運営では経験値もある薫田社長だが、では、経営トップとして何に着手するのか。

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「これまでの事業運営としては、前年比で何%伸ばしたというところを見てきた。でも、様々な事業に伴う数字の部分は、もう一回皆で見直し、考えていこうと思っています。先ず話をしているのは、毎月数字を追うことです。そういう数字を皆で理解していくことから始めたい。小さな会社ですけれど、(母体企業からの)予算ありきではなくて、やはり自分たちの予算をしっかりと立てて、そこに対してどうやって会社を回していくか。そのような中で、毎月の数字をすべての関係者が共有して、理解していくことが重要だと思うので、そこは組織内の全員にやってもらいます」

 自分たちで収支や集客、関連事業などの数字を徹底的に見つめ直して、課題や良好なエリアを見つけ出し、その後の活動に反映させる。まさに、ようやく独り歩きを始めたばかりの企業といった印象だが、足元をしっかり見つめながら業績を評価し、見直していくことが新たな経営の方向性を構築していくはずだ。
  
「実はオーナー(東芝)からもですけれど、スポンサーからのフィー(資金)だけじゃなくて、予算の何割かは自分たち独自の収益などで賄っていこうという考え方はあります。勿論、今でもチケットやグッズ販売による収入はありますが、自分たちで、いわゆる寄付も含めて皆さんに応援していただけるような図式から資金調達しようというプロジェクトを考案中です。ファンばかりじゃなく、グループ企業、関連企業も数多くありますから、そこへのアプローチを僕自身がプロジェクトリーダーのような形で進めていきたい。これは持続可能なクラブ運営・経営の理想形を求めようという思いからです。オーナーフィーといわれるものを減らしていくという部分は、引き続き追求していく必要があります」

 参考までに、BL東京の場合、母体企業である東芝からの支援(スポンサー料)は非公開としながら、それ以外のスポンサーからの収入は24-25年シーズンで全収入の49%(約3億6000万円)。続いてチケット収入が28%、グッズ販売が14%だった。依然多くの収入が母体企業からのものだと推察されるのだが、その一方で、過去には東芝自体の経営悪化でチームの存続が危ぶまれるほどの窮地を経験している。母体企業の業績に影響されないためにも、より独立した収益性を高めることは必要不可欠なチャレンジだが、そのためにもBL東京では自分たちの活動の広告費換算を重視している。

「スポンサー開拓や集客に力を入れていく中で、チームの成績や取り組みをしっかりと広告費換算して数値化していくことも大事だと考えています。例えばプレーオフですが、自分たちが戦ってきたこの2シーズンを見ると、前年から遥かに広告価値が上がっています。23-24年シーズンは47億円という価値換算だったのが、昨季(24-25年)は73億円以上になった。前年のプレーオフは、どちらかというとパナソニック中心の展開でした。日本代表でも長らく活躍した堀江翔太や内田啓介の引退といった話題があり、そこにリーチ(マイケル)を中心にウチがどうチャレンジするかというストーリーだった。でも、昨季は我々の連覇というのが中心になったぶん、広告効果も1.5倍くらいへ飛躍的にアップしています。それも3週間という期間でのことです。そういう意味では、自分たちの価値をしっかりと数値化して、これからどれだけ高めていくかが重要になると考えています」

 チームの勝敗やファンサービスなどが、自分たちの企業価値にどう繋がっていくのか――。このエリアを追求することの重要さを認識した上で、数値化には客観性、正確性を重視して外部の企業も起用している。

「ウチは広告効果、広告費換算については完全にプロにお願いしています。メディア露出がどれだけの価値を生んでいるかを調査する外部の会社です。露出というのは、大きいものなら試合のテレビ中継ですし、それ以外にも紙面やSNSなど取り上げられたものをしっかり数値化、価値化しています。以前は社内(東芝グループ内)の広報などのやり方を参考に算出したりしていたが、ここ2年のプレーオフでの数値を見ると、社内のノウハウでの算出と外部委託の数値でかなりの違いがあって驚かされた。ここの数値は、しっかりと、より正確なものを算出して見ていく必要があります」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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