「心電図が動いてくれて…」亡き祖父と約束 10年間のパン工場勤務を経て…異色の“元・市民ランナー”が今も追う夢――河村英理香
15、16日に行われた陸上の日本グランプリ(GP)シリーズ・アスリートナイトゲームズin福井(9.98スタジアム)。16日の女子800メートルに出場した河村英理香(Rebirth)は2分10秒10で6位だった。高校卒業後、10年間の市民ランナーを経て、現役生活を続ける31歳。100メートルからフルマラソンまで“全種目制覇”した異色のランナーには諦められない夢がある。亡き祖父と交わした約束……。走り続ける理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

陸上アスリートナイトゲームズin福井
15、16日に行われた陸上の日本グランプリ(GP)シリーズ・アスリートナイトゲームズin福井(9.98スタジアム)。16日の女子800メートルに出場した河村英理香(Rebirth)は2分10秒10で6位だった。高校卒業後、10年間の市民ランナーを経て、現役生活を続ける31歳。100メートルからフルマラソンまで“全種目制覇”した異色のランナーには諦められない夢がある。亡き祖父と交わした約束……。走り続ける理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)
どうしても叶えたい夢がある。だから今も、走り続けている。
出場11人で2人配置された8レーンの外側から走り出した河村。オープンレーンとなり、後方から前を追った。5番手で1周目を通過すると、5人で形成した2位集団で競う展開に。最後まで粘りの走りを見せ、6位に食い込んだ。
記録は2分10秒10。「シーズンベストではあるけど、日本選手権の参加標準記録(2分7秒50)突破を目指していたので、そこに及ばなかったことが悔しい」。レース後、清々しさの中に悔しさが滲んだ。
小学5年から始めた陸上競技。愛知・名古屋の千種中では100メートルと走り幅跳び、三好高(愛知)では200、400メートルを専門に競技を続けてきた。ただ、全中やインターハイといった多くのトップアスリートが踏む大舞台への出場経験はない。高校卒業後は「敷島製パン Pasco」に入社し、工場で10年間働いた。
午前7時に始業し、午後7時までの12時間勤務。夜勤も週単位で交互にこなした。仕事だけでもハードな日常。それでも続けてきたのが陸上競技だった。
「100メートルからフルマラソンまで制覇しました」
市民ランナーとして走り続けて10年。100メートルは12秒5、フルマラソンは2時間48分の自己ベストを持つ。そんな異色のランナーが800メートルに絞ったのは3年前だ。「800とか1500に出てみなよ」。練習パートナーの一言がきっかけだった。「色々とやってきたけど、一番きつい(笑)」と話す種目で、日本最高峰の舞台を目指すことにした。
23年には実業団チームにも所属。ただ、より自分に合った活動環境を求めて、昨年10月に退社した。そこから1年。小学生や一般の人へのコーチング料、クラウドファンディングなどで集まった資金を活用して活動してきた。しかし、お金事情は切実。「人と関わることが好きなので、接客業の仕事をしようかな」と今後は働きながら続けていく予定だ。
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










