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突然突き落とされた「地獄の日々」 原因不明の菊池病と闘い世界へ、福部真子の使命「私が走ることに意味がある」

15、16日に行われた陸上の日本グランプリ(GP)シリーズ・アスリートナイトゲームズin福井(9.98スタジアム)。16日の女子100メートル障害決勝では、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)が12秒73(追い風1.4メートル)で優勝した。9月に開催される東京世界陸上の参加標準記録(12秒73)を突破し、代表入りに大きく前進。原因不明の高熱が生じる「菊池病」を患いながらも、競技を続ける29歳のハードラーは「菊池病の人が少しでも生きやすい世界になったら」と同じ病気で苦しむ人への思いを明かした。

世界陸上派遣標準を突破した「12秒73」とともに記念撮影した福部真子【写真:中戸川知世】
世界陸上派遣標準を突破した「12秒73」とともに記念撮影した福部真子【写真:中戸川知世】

100メートル障害で世界陸上に大きく前進、同じ病気で苦しむ人への思いを胸に

 15、16日に行われた陸上の日本グランプリ(GP)シリーズ・アスリートナイトゲームズin福井(9.98スタジアム)。16日の女子100メートル障害決勝では、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)が12秒73(追い風1.4メートル)で優勝した。9月に開催される東京世界陸上の参加標準記録(12秒73)を突破し、代表入りに大きく前進。原因不明の高熱が生じる「菊池病」を患いながらも、競技を続ける29歳のハードラーは「菊池病の人が少しでも生きやすい世界になったら」と同じ病気で苦しむ人への思いを明かした。

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 ファンも、選手も、報道陣も……誰もが願った瞬間が訪れた。

 10台の障害を越え、福部がゴールラインを駆け抜ける。電光掲示板には「12.72」が表示された。追い風1.4メートルで記録は公認。そして18秒後……。「12.73」が確定。世界陸上の参加標準記録をジャストで突破した。会場は歓喜の拍手に包まれ、共に走った選手も報道陣も大興奮。祝福をいっぱいに受けた日本最速の女子ハードラーは笑顔の花を咲かせた。

「正直、(世界を)目指して良いのか、自分の中で疑問があったので、率直に言うと『良かった』というだけなんですけど……。でももっと上のレベルで走りたいなと思います」。レース後、丁寧に言葉を紡いだ。

タイムが確定すると一緒に走った選手からも祝福を受けた【写真:中戸川知世】
タイムが確定すると一緒に走った選手からも祝福を受けた【写真:中戸川知世】

 病と闘いながらの挑戦だった。

 高校時代にインターハイを3連覇。逸材として将来を嘱望された。一時は「天才」という肩書きに苦しんだが、2022年6月の日本選手権で26歳にして初優勝。同7月のオレゴン世界陸上では準決勝進出し、12秒82の日本記録を樹立した。昨年7月には12秒69とさらに更新し、同8月のパリ五輪でも再びセミファイナリストに。寺田明日香、田中佑美、中島ひとみら実力者が群雄割拠で今、注目を浴びる種目でエースとして実績を積み上げた。

 更なる飛躍を目指す最中、悲劇が襲った。

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