「将来の夢はないです」 現役時代、宇野昌磨がこう答えていた理由 アイスショーにも生きる「自分の強み」

「目標を教えてください」の質問に困る理由「ないですって言っていたことも」
――逆に、もっとできたと感じるところはありますか。
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「僕はどんな失敗も、もっとこうすればよかったっていうことも全部必要な経験だって思っているので、あまり『こうしとけばよかった』のマインドにはならなくて。どんな失敗でも、今回経験できたからこそ“次に生かせるチャンス”ができたというか。ここから同じ失敗をしないように、じゃあ次はこうしようかなっていう考えなので」
――現役時代からそういったマインドが備わっていたのでしょうか。
「過去に対してあまり後悔しないので。『こうだったら』とかもあまり思わないですし、それこそ未来の話もあまり考えないんです。将来の自分のために今、苦しい思いをするという考えもあまり好きではなくて。良くも悪くも、今が良ければそれでいいという考えでずっと生きていました。
例えば練習をサボった時や『いかん、やりすぎた』っていう時も、何も後悔はしていないんです。サボって結果的に悪かったら、じゃあ次はサボらないようにしようって思って行動に移せばいいと思うので。なんでも先のことを見据えて失敗しないようにっていうよりも、失敗してからちゃんと修正すればいいかなと。
ただ、それは自分のスポーツの話。こういう(アイスショーなどの)イベントは関わっている人がたくさんいる。失敗をしたくない、失敗は許されないというのがビジネス、プロの仕事だと思いますし、そういう責任が現役引退してから変わったかなって感じます。今の自分に満足できる、納得できるものを積み重ねていたら、あまり後悔もないのかなと」
――アスリートに「将来の目標を教えてください」と聞くのは定番ですが、宇野さんにとっては答えに困る質問でしたか。
「時期によっては『将来の夢はないです』って言っていたこともあって(笑)。言葉はちょっとアレですけど、目の前のことをやった先にいろんなものがあるから、今日頑張る。スケジュールとか、将来設計とか、先のことを考えるのが得意ではないからこそ、今頑張る。『Ice Brave』もそうで、後先に考えずに、できるフルのエネルギーを『今』という瞬間につぎ込む。それが自分のスケーターとしての強みでもあるかなと思ったので、こういうエネルギッシュなショーさせていただきたいと思いました」
――アイスショーの練習もセーブせず、120%で滑っている映像を見ました。
「練習でできてないと本番でもできないって小さい頃から言われていましたけど、僕は本番だけ100%でやるとかはできるタイプではないので、ずっと全力でやっています」

――「Ice Brave 2」では変更したい部分、維持したい部分の両面があると思います。どんな構想がありますか。
「実は今日の夜(※取材は7月下旬に実施)、ミーティングするんです。何も決まっていないのですが、昨日の夜も結構考えて。Ice Brave『1』がすごく好きだったからこそ、残したい部分もあるというのが終わってすぐの感想でした。でも『2』になった時に『あ、ここすごい好きだったんだよね』『残っていて嬉しい』って思ってもらえるのはいいんですけれど、新しい部分だとか『1』より進化した驚きを皆さんに与えたい思いが今はあります。
構成とか、曲へのアプローチの仕方を変えてもいいかなと。Ice Braveのコンセプトとして、ライブ感を楽しんでもらえるとか、エネルギッシュであるとか、僕の現役時代のプログラムが詰め込まれているとか、そういった部分は変わらないんですけど、進化させるために変える部分があってもいいかなって考えています」
――「Ice Brave」で宇野さんが最も大切にしていて、見ている人に伝えたいと思うものを教えてください。
「見やすいショーにしたいという思いがあります。フィギュアスケートって、僕自身の感想は『ちょっと敷居が高い』というか。ちゃんとおとなしく、静かにしなければいけないイメージ。そうではなくて、声を出してもいい雰囲気とか、初めて見る方も入りやすい、見やすいというショーにしたい。そういうアプローチにいくつか取り組んでいる一方で、スケートでしか見せられない魅力も見せたい。『2』に向けていろいろな驚きを与えられるように、考えていければなって思っています」
■宇野昌磨アイスショー「Ice Brave」
宇野さんが現役時代に滑ってきた数々の名プログラムを、新たな演目として昇華した自身初プロデュースのアイスショー。6月に愛知、福岡、新潟で公演を行って大好評となり、11月からは第2弾が開催される。90分間ノンストップ、本田真凜や本郷理華を含めた8人のスケーターが音楽ライブのような熱狂を生み出す。東京公演は11月14日から江戸川区スポーツランドで3日間開催。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)
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