ラグビー現役引退「正直、他の世界に…」 リーグワン連覇「CC」の転換、南北半球の“海外行脚”で学んで強化に還元

積極的に海外強豪チームを視察、学びをチームに還元
チームを強くするには自分自身のコーチとしてのバージョンアップも重要だと認識していた森田だが、CC就任のタイミングから、その“資質”が生かされることになる。現役時代、そしてコーチとして、チームや国内のゲームだけではなく、海外のラグビーにも興味を持ち、様々なものを旺盛に吸収、学んできた森田だったが、その知見を活かして積極的に海外強豪チームへの視察を始め、その学びをチームに落とし込んだ。
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「2022年はサラセンズとハーレクインズ(共にイングランド・プレミアシップ)がメーンで、両チーム1週間ずつ程度でした。それにプラスしてバース(同)にも行きました。バースは、今のヘッドコーチ(HC)ヨハン・ファン・グラーンが就任1年目のシーズンでしたね。先ずハーレクインズは、前年のベストアタッキングチームで、他のチームとは少し違った形のアタックをしていたので、ニック・エバンス(アタックコーチ、元ニュージーランド代表)と話したいなと思っていたんです。そこで実際にクラブに行って、アタックのところを学んできました。サラセンズでは、彼らの特徴でもあるキッキングゲームと、クラブのカルチャーを学ばせてもらいました。どういうところで仕掛けているのか、そしてどういった空気感で日々の活動とカルチャーを作っているのかを見たかったんです」
視察したクラブは、創立1860、70年代というイングランドの最高峰リーグ「プレミアシップ」所属の名門ばかりだ。バースに関しては、29シーズンぶりに昨季プレミアシップを制し、シーズン3冠(プレミアシップ杯、EPCRチャレンジ杯)も果たしているが、森田は既に3シーズン前には注目していたクラブだった。
このような成功を収めたクラブ、あるいは森田CCが注目する指導者が拘るもの、150年もの歴史の中で築かれたクラブ文化や価値観、そして最先端の戦術をどうチームに融合させているのかを学ぶことで、コーチ、コーディネーターとしての見分、スキルを広げていった。日本人指導者が海外チームを視察すること自体は珍しいことではない。だが、チームが提携したクラブを視察する程度のコーチが大半の中で、事前にクラブのスタイルや指導者のコーチング能力まで熟知した上で、自ら学ぶべきチームを選んで渡航するケースは多くはない。
「2023年は、南半球のクルセイダーズ、ブルース(共にスーパーラグビー参画のニュージーランドの強豪)に2週間弱。それから再びイングランドのノーザンプトンに行って、前年に続いて、さらにアタックについて学びました。今までより良い仕掛けがあるのか、より良く出来るグラウンド上での取り組みがあるのか、良いミーティングの仕方はあるのか、そんなことを学びに行ったんです。元々ノーザンプトンのラグビーが好きで、試合での選手の表情とかを見ている限り、空気感なども良いものを感じていたんです。そこから、知り合いがいたウェールズのクラブ、スカーレッツも1週間弱くらい行きましたね」
この海外視察には、現役時代から世界的に信望を集め、クルセイダーズOBでもあるBL東京のトッド・ブラックアダーHCからのサポートも大きかった。それに加えて、過去に森田CC自身も一緒に仕事をした外国人コーチらとの人脈も生かしながら南北半球で視察を続けてきた。昨年オフ(24年)には、その幅をさらに広げて、オールブラックスにも帯同している。
「イングランドのクラブは、僕らのオフシーズンは同じようにオフなんです。勿論、練習や様々なミーティングなどでチームを作り込んでいく段階での学びがあるんですけど、やはりゲームウィークでそれぞれのチームがどんな準備をするのか、どれだけの新しいコンテンツを選手に準備させるのか、1週間という期間の中で、どういうスケジューリングでやっているのかも学びたかったのです。なので、オールブラックスにはアルゼンチン代表戦までの1週間ほど行かせてもらいました」
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