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ラグビー現役引退「正直、他の世界に…」 リーグワン連覇「CC」の転換、南北半球の“海外行脚”で学んで強化に還元

CC兼アタックコーチという立場で連覇の先に何を求めていくのか

 昨季の優勝までを振り返るインタビューだったが、CC兼アタックコーチという立場で、連覇の先にある新たなシーズンに何を求めていくのだろうか。

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「シーズン中というのは、本当に次のことは考えてなかった。具体的なことは、もう少し後にならないとわからないですね。ただ、前シーズンより良くしようと取り組んだボールを動かし続けるというところは、一つのベンチマークになる。いい数字も出ていました。でも、僕が世界の中で見てきたベンチマークを考えると、現状よりも高い基準を置いて、ウチでもより良く出来ると思っています。そこに、何か新しいことを取り入れていきたいですね。新しいことにチャレンジするのは、選手にとっても精神的に大事ですし、ラグビーをより良くしていくためにも大事なので。海外ですか? 学びたい人が1人いるので計画中ですね」

 新たなチャプターについては、まだこれからという話に留まったが、ボールを積極的に動かしていく“ルーパスラグビー”はさらに進化させていく。おそらく、貪欲に「学び」を追求する男の頭の中には“次”への構想が詰まっているはずだ。連覇を遂げても、この若きCCがチーム進化の手綱を緩めることはない。

 個人的な認識として、この先に日本代表を率いるような日本人指導者が現れるのは、かなり時間がかかると考えている。リーグワン指導者ですら、多くのチームが海外から指導者を招いているが、その様々にある理由の中で大きな要素は「情報」だろう。いま現在進行中で、世界の最先端で取り組まれ、導入されようとしているコーチングを、どれだけ短い時間で仕入れ、チームに落とし込むことが出来るか。これこそが、現代のラグビーコーチに求められる重要な資質であり、日本人コーチの中で語学力や世界とのネットワークも踏まえて、昨日ダブリンやクライストチャーチで起きた「何か」を日本のチームに仕入れられる人材はほとんどいない。

 この面から考えると、森田CCの海外での取り組みを聞くと、過去の日本コーチには希薄だったエリアに踏み込んでいるのだと理解できる。森田CCのこれからの進化は勿論、この36歳の若きCCの後に続く存在が他のチームにも現れ、育てられる環境が生まれた時に、初めて日本人指導者という議論が起こるだろう。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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