実は水泳にもある年齢制限 「12歳」最年少メダリスト誕生で揺れる国際団体 「ルールそのものを再検討すべき」の声も
シンガポールで行われた水泳世界選手権で、12歳の少女が話題をさらった。競泳中国代表の于子迪は、最終日の女子400メートル個人メドレーで同着銀メダルの成田実生らに遅れること0.05秒で4位。200メートル個人メドレー、200メートルバタフライに続いて3種目目の4位で表彰台は逃したが、スタンドの歓声は誰よりも大きかった。

世界水泳で12歳の于子迪がメダルを獲得
シンガポールで行われた水泳世界選手権で、12歳の少女が話題をさらった。競泳中国代表の于子迪は、最終日の女子400メートル個人メドレーで同着銀メダルの成田実生らに遅れること0.05秒で4位。200メートル個人メドレー、200メートルバタフライに続いて3種目目の4位で表彰台は逃したが、スタンドの歓声は誰よりも大きかった。
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すでに、大会の歴史に残る偉業は達成していた。中国が銅メダルを獲得した7月31日の女子800メートルリレー予選に出場し、12歳288日でメダルを獲得。決勝では泳がなかったが、世界選手権では86年マドリード大会女子200メートル平泳ぎ銅メダルのアリソン・ヒグソン(カナダ)の持つ13歳158日の最年少メダル記録を大幅に更新した。
五輪翌年の世界選手権では多くの若手が活躍する。日本も成田や男子200メートル自由形銅メダルの村佐達也が18歳でメダルを獲得するなど10代選手の活躍が目立ったが、12歳は驚異的。今大会、18歳で4冠に輝いたサマー・マッキントッシュ(カナダ)が「世界デビュー」したのが21年東京五輪で14歳の時だったから「マッキントッシュを超える天才」と騒がれるのも分かる。
12歳の活躍に揺れるのが水泳競技の国際統括団体、ワールドアクアティクスだ。フィギュアスケートや体操ではよく聞く「年齢制限」が、実は水泳にもある。飛び込みと競泳、オープンウォータースイミングは14歳以上(大会開催年の12月31日時点)。アーティスティックスイミングは15歳以上、肉体的なリスクも大きいハイダイビングは18歳以上と規定されている。
以前は競泳に年齢制限はなかった。2015年の世界選手権にバーレーンの10歳の少女が出場して最下位に終わった後「若年層に肉体的、精神的な過度な負荷をかけてはいけない」という理由で「14歳以下」が定められた。「大会参加標準記録突破選手は年齢に関係なく出場できる」ため、于子迪ら高い競技レベルの選手にとっては意味のない制限だが、ワールドアクアティクスの内部からは「ルールそのものを再検討すべき」という声も上がっているという。
個人種目の表彰台まであと一歩と迫った12歳には、ロサンゼルス五輪での表彰台、金メダル獲得も期待される。もっとも、于子迪も3年後には15歳。仮に21歳のマッキントッシュや成田に勝って金メダルを手にしても、1992年バルセロナ大会女子200メートル平泳ぎで岩崎恭子が記録した14歳6日の五輪最年少金メダル記録を破ることはできない。4年に1回の五輪で記録を残すには、年齢的な巡りあわせも重要になるということだ。(荻島弘一)
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
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