「叶夢、見てたか」 20歳で亡くなった“弟分”へ 世界王座を掴んだ逸材・高見亨介がトランクスに刻む2文字

20歳で自ら絶った命 弟分の父に高見が聞いた「一緒に戦ってもいいですか」
プロ戦績は9戦9勝(8KO)と着実にキャリアを積んできたが、日本ユース王座の初防衛戦2日前に、自ら命を絶った。怪我の影響などで思うように減量ができなかった。坂間さんの父・一平さんは当時、Xで「試合間隔が短く拳の怪我や最終まで足の痛み止めを打って走れなくてもプールで調整して出場しようと最後までどんなボクサーより頑張りましたが、試合をキャンセルした自分を許せなかったんだと思います」とつづっている。
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高見は当時を振り返り「自分が小学生の頃からの仲なので、十数年くらいかな。ショックでした」と言葉を詰まらせた。訃報を聞いて以降、高見は毎試合、坂間さんの名前をトランクスに入れる許可を一平さんに取っているという。
一平さんは息子の兄貴分への思いを静かに語った。「年は高見君の方が1個上なのですが、一緒に練習をしたりご飯に行ったり、よく面倒を見てもらっていた。弟の楽叶のことまで気にかけてもらっている。本当に良い先輩です」。トランクスの刺繍については「叶夢が亡くなってから高見君が僕のところに来まして。『一緒に戦ってもいいですか』って。自分の練習に集中した方が絶対ためになると思ったのですが、試合が決まるたびに連絡をくれる。本当にありがたい」と感謝を口にした。
息子と一緒に成長してきた高見の大舞台を、会場で見守った。「見ていると、小さいころに叶夢と練習していたことを思い出す。トランクスに名前を入れてくれていることで、叶夢のことを1人でも思い出してくれる人がいるんじゃないかと。僕ら家族としてはそれがすごくうれしい。ありがとうというか、感謝しかないです」と言葉を紡いだ。

高見は激闘を終えて「(叶夢さんは)すごいですねって言ってくれると思う」と笑顔。今後の展望について「今言うと会長に修羅の道を行けと言われそうなんで、今少し伏せたい。ただ、自分が目標にしている複数階級という目標に向けてはしっかりと進んでいきたい」と語った。弟分と見た夢の続きを王者は歩んでいく。
(THE ANSWER編集部・澤田 直人 / Naoto Sawada)
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