「叶夢、見てたか」 20歳で亡くなった“弟分”へ 世界王座を掴んだ逸材・高見亨介がトランクスに刻む2文字
ボクシングのWBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦が30日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、同級1位・高見亨介(帝拳)が同級王者エリック・ロサ(ドミニカ共和国)に、10回2分48秒TKO勝ち。世界初挑戦で悲願の王座を掴んだ。明るい笑顔の裏では、若くして亡くなった“弟分”の思いを背負って戦っていた。戦績は23歳の高見が10勝(8KO)、25歳のロサが8勝(2KO)1敗。(取材・文=THE ANSWER編集部・澤田 直人)

高見亨介VSエリック・ロサ
ボクシングのWBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦が30日、神奈川・横浜BUNTAIで行われ、同級1位・高見亨介(帝拳)が同級王者エリック・ロサ(ドミニカ共和国)に、10回2分48秒TKO勝ち。世界初挑戦で悲願の王座を掴んだ。明るい笑顔の裏では、若くして亡くなった“弟分”の思いを背負って戦っていた。戦績は23歳の高見が10勝(8KO)、25歳のロサが8勝(2KO)1敗。(取材・文=THE ANSWER編集部・澤田 直人)
【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)
◇ ◇ ◇
ともに掴みたい夢があった。高見のトランクスには“叶夢”の2文字が施されている。昨年3月16日に20歳の若さで亡くなったプロボクサー・坂間叶夢さんの名前だ。
「叶夢と一緒にリングに立つつもりで戦っている。毎回力を貸してもらっています」
待望の世界初挑戦。初回から主導権を握った。サウスポーのロサとジャブで間合いを測り、隙を見て右フックをヒットさせた。2回、左右のコンビネーションを駆使した果敢な攻めに、歓声が沸き上がる。5回は終了間際に相手をコーナーに追い込むと右拳を回し、ロサにアピール。ゴングを聞き笑顔を見せる余裕があった。
決着は10回、右フックでダウンを奪取。その後にレフェリーが試合を止めた。「叶夢見てたか!」。勝利のゴングを聞くと高見は拳を天に突き上げ、喜びを爆発させた。

プロ10戦目で世界王座を懸けたリングに立った。報道陣にユーモアを交えて話す姿や、公式会見で相手とじゃれ合う姿は、天真爛漫で若々しい勢いを感じさせる。一方で、ぶれない芯もある。「結果でしか恩返しができない。ジムのトレーナーや先輩方。自分の友達だったり、サポートしてくれる人のためにも頑張りたい」。大切な人を思う気持ちが原動力だ。
そんな高見にとって、特別な“弟分”が坂間さんだった。プロデビューした2021年、ライトフライ級で東日本新人王に出場し、同年12月に優勝。22年2月には全日本新人王に輝いた。23年7月のプロ8戦目では日本ユース同級王座決定戦で勝利し、王座を獲得。ボクサーとして将来を嘱望されていた。
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










