比嘉大吾が引退、ボクシングファンを魅了した激闘と“愛されキャラ” 会見で声震わせ伝えた感謝

お金のためだけじゃない…伝えた感謝「楽しいボクシング人生だった」
「手応えはあった」。しかし、回復が早い王者を仕留めきれず、逆に連打を浴びるなど押し返された。「相手に取られているぞ」。ポイントでは不利と判断し、最終12回も攻めに行った。そこで右を食らい、痛恨のダウン。「同じ過ちをしたな、という感じ。行って、倒されているんで仕方ない部分もある」。またもあと一歩ベルトに届かず。「今回は何が何でも勝ちたかった」と悔しさを露わにした。
【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)
結果は引き分けだが「自分の中では負けと一緒。これが自分の実力」と受け止める。「ずっと自分の中で決めていた。チームやプロモーターに3回目を組んでもらって、それで結果が出せなかったらもう終わりだと思っている。はい。引退します」。14年6月から始まったプロキャリアに終止符を打つと明言した。
12年間、二人三脚で歩んできた野木トレーナーは「この選手とずっと一緒に生きてこられて幸せ。なかなか出会える選手じゃない。素晴らしい選手」と称えた。「この人間のことを嫌いだと言う人って少ないかなと思うような愛されキャラ」。恩師からそう評される比嘉は、飄々とした人間性と、どんな相手にも最後まで引かない好戦的なスタイルで、数多くのボクシングファンを魅了してきた。
この試合、結局11回まではジャッジ3者ともに比嘉に軍配をあげていた。最後、守りに入っていたら……という“たられば”も聞こえるが、本人は「あそこで行かないよりは、前に出て倒れたほうが自分らしいかな」と振り返る。3戦連続で演じた世界王者との計108分間の激闘。その姿に胸を打たれた人が少なくないことは、リングに降り注いだ声援の大きさが物語っていた。
会見最後の質問。感謝の気持ちを伝えたい人を尋ねられた比嘉は、再び声を震わせながら言い切った。
「野木さんもそうだし、チーム、志成ジム、(マネージャーの)二宮さん、トレーナー全員、ファンの皆さん、沖縄のみんな……全てに感謝します。ボクシング人生、ここまで応援されると思っていなかった。いつも金のためにやっていると言っているけど……それは嘘じゃないけど、それだけのためにはやっていない。本当にみんなのおかげ。楽しいボクシング人生でした」
戦績は21勝(19KO)3敗3分け。その数字以上に、記憶に残る熱いファイターだった。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










