遅咲きの大打者が振り返る野球人生“一発逆転”の転機「後悔も未練もない」
「割り切り」と「思い切り」、そして「振り返り」
割り切りと思い切り。これがバッティングにも好影響を与えていく。この年打率は3割を超え、33本のホームランを放っている。
ブレイクにはもう一つの要素「振り返り」があった。
「毎日、試合があるわけじゃないですか。でも4打席中あったとして全部ヒット打てることなんて、ほぼない。打てなかったとき、どうして打てなかったのかを僕は技術的に理論的に考えるようにしました。ただ打てなかったな、で終わらせません。
右肩が前に出てしまっていたから、とか、手の角度がどうだったかとか、きちんと振り返っておく。逆にどうして打てたのかも考えますよ。物事には絶対に理由があるので、『どうして』というのを、きちんと理解しておくようにしました。そうすることで次の試合につなげたいと思いました」
失敗やミスのタネを決して放置しておかない。4打席中3安打の猛打賞をマークしたとしても、打てなかった1打席の原因を探った。俺はなぜ、あそこで打てなかったのか、と。
和田らしいエピソードがある。
中日にFA移籍した2年目の2009年シーズン。前年で3割を打っていながらも、打撃改造に着手したのである。失敗したら「打法」そのものが崩れてしまう可能性もある。しかし彼はリスクを見ようとしなかった。