佐藤琢磨が「No attack No chance」を貫く理由 “米国の家族”が語る素顔とは
3年前、忘れられないゴルフ場の思い出「No Way!」
同氏には忘れられない思い出がある。3年ほど前、長年の趣味であるゴルフに誘ったという。もちろん、佐藤がルールも知らないほどの初心者であることは知っていた。1度目は「最初はまともにボールに当たらないくらいひどかった」。さすがのトップレーサーもお手上げ状態だった。それでも、2度目のラウンドで同氏は目を丸くした。ショートホールで、佐藤の放ったアイアンショットはピンそばにピタリ。「No Way!(まさか!)」と同氏は思わず叫んだ。
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「僕が家を空けた数日間にプロのレッスンを受けて特訓をしていたんだ。次に回ったときには好ショットを連発して信じられなかったよ。これが琢磨という男なんだよ。簡単に敗北を受け入れたりしない。努力を続けて成功するまで諦めない。チェッカーフラッグが振られるまでギアを踏み続けるんだ」
そういえば以前、佐藤に子供の頃にどのような遊びをしたか聞いたことがある。小学生時代は自転車に夢中だったそうで、「いつも知らない道を見つけて走るのが好きだった。友人とどれだけ早く目的地にたどり着けるかレースしていた」と笑う。高校時代に一人で自転車部を創設して活躍するなど、道なき道を切り開くのが彼のスタイル。日々の生活でも向上心を燃やし続ける根っからの勝負師なのだ。
「彼ほどポジティブな人に会ったことがない。結果が出ていないときでも常に明るく前向きに振る舞う姿を見て、周りのスタッフも引っ張られていくんだ」とフューセク氏は語る。メカニック・チームらスタッフやトレーナー、友人たち。佐藤の周りには自然と人の輪ができる。リタイアという不本意な結果に終わった今シーズン開幕戦後も、笑顔で技術スタッフらと話し合う姿があった。「彼はチャレンジするのが好きなのだと思う。だからポジティブに問題と向き合うことができる」と分析する。