佐藤琢磨が「No attack No chance」を貫く理由 “米国の家族”が語る素顔とは
インディカー・シリーズ参戦10シーズン目を迎えた佐藤琢磨。2017年に日本人ドライバーで初めてインディアナポリス500マイル(インディ500)を制したのは記憶に新しい。日本企業のNTTが冠スポンサーとなった今シーズンは、初の年間王者と2度目のインディ500制覇に挑む。
インディカー参戦10季目、マネージャーのフューセク氏が語る「佐藤琢磨という男」
インディカー・シリーズ参戦10シーズン目を迎えた佐藤琢磨。2017年に日本人ドライバーで初めてインディアナポリス500マイル(インディ500)を制したのは記憶に新しい。日本企業のNTTが冠スポンサーとなった今シーズンは、初の年間王者と2度目のインディ500制覇に挑む。常に逆境に立ち向かってきた佐藤を支えるものは――。2010年からマネジャーとして公私にわたってサポートしてきたスティーブ・フューセク氏がレーサーの素顔を語ってくれた。
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佐藤はシーズン中、インディアナ州にあるフューセク氏の自宅を拠点に置く。奥さんと2人で暮らす同氏は「(42歳の)彼を息子と呼ぶことはできないが、弟のような存在」と家族ぐるみでサポート。奥さんが醤油とポン酢でマリネしたポークチョップ(通称:サトウ・ポークチョップ)をつくって新シーズンに送り出すのが恒例になっているという。全米各地を転戦する過酷なスケジュールをこなす佐藤にとっても、ツーリングやゴルフ、食事をともにできる米国の家族の存在は大きな支えとなっている。
「No attack No chance(挑戦しなければ、チャンスはない)」を信条とするスタイルを全米で広めたのは、12年のインディ500だろう。2位で迎えた最後の1周でトップの選手を抜こうとしてスピンし、壁に激突。あと一歩のところで頂点を逃したが、エキサイティングなレースを演出した佐藤の走りはファンの心をつかんだ。その意味でも、17年の初制覇は挫折を乗り越えた末の栄冠だった。同氏は「2012年の時、琢磨はまたチャンスが来ると語っていたが、僕は自信を持てなかった。この世界に30年いるけど、あそこまで近づいたのは初めてだったから。でも琢磨は決して諦めなかった。だからこそ、大きな勝利をつかむことができた」と振り返る。
百戦錬磨のドライバーが集うインディカーで佐藤の強みは何か。フューセク氏は精神面を要因に挙げる。「レース場に限らず、常に何かにチャレンジしている。向上心が彼の原動力。難しく見える道でも切り開くことができる特別な才能がある。生まれ持ったものだろう」。