人口4万8000人 “海のない湘南”寒川町がストリートスポーツ世界大会を開催する理由
「こういうコンパクトな規模の町でも世界的なイベントができるんだという自信」
その熱い思いが、実際に町を動かし始めていることを、肌で感じているのが内野だ。
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「今は寒川に住んでいますが、ご飯を食べに行くと居酒屋やレストランにポスターが貼ってあって、お店の方が声を掛けて下さる。配送の方が『FLATPARK』に荷物を届けてくれる時も、『これが例の練習場ですか?』っていう話にもなるんです。それくらい、みんな開催を知っている。駅で降りれば、町が一丸となって開催を盛り上げているのが分かる。今まで神戸では、ここまでできなかったんですよ。会場の敷地に入って、やっと開催が分かるくらい。駅前から歓迎してくれるなんて『ARK LEAGUE』としても新たな一歩でもあるし、楽しみです。海外から来る選手もテンション上がりますよね」
町長によれば、開催当日に向けて、町では公共交通機関を使う場合のアクセス経路、町内の店舗情報など、来場者が必要な情報をすぐに見つけられるシステムを整えたり、町内に目で見て分かる案内などを掲示したりするという。もちろん目指すは大会の成功だが、「開催される3日間の期間限定ではなく、ここを起点として次につなげていきたい」と語る目は、少し先の未来を見据えている。
「今回の『ARK LEAGUE』をきっかけに、寒川をストリートスポーツの中心地として定着させていきたいですよね。世界を代表する本物の技が目の前で見られる。関心は高まるし、やりたいと思う人が増えると思うんですよ。BMX、スケートボード、ブレイキンの3種目で世界トップが集まる。本物を間近に見た印象って、子供たちはもちろん我々の記憶に残るものですから。
そして、寒川という町で世界大会が実現する波及効果はすごく大きいと思います。今まで『この町でそんなことできないよ』と消極的な部分があった中で、町民の自信になるし、町そのものの存在価値が高まる。ある意味、こういうコンパクトな規模の町でも世界的なイベントができるんだという自信は、県内に限らず各行政体にも力強い刺激になると思います」
平成最後の週末に行われるイベントをきっかけに、寒川町と「ARK LEAGUE」は新たなステージに足を踏み入れることになりそうだ。
◇内野 洋平(うちの・ようへい)
1982年9月12日、兵庫県生まれ。36歳。幼少期は水泳、モーグルで活躍。御影工2年からBMXを始め、05年に史上最年少の22歳で日本選手権優勝。08年に世界選手権初優勝。2012~2014年まで世界選手権シリーズ3連覇の偉業を成し遂げ2016年には通算8度目になる世界タイトルを獲得し世界の頂点に返り咲いている。12年にはWORLD TEAM G-SHOCKアスリートとして日本人BMX選手で初めてG-SHOCK社と契約するなど、数々のスポンサー契約を結ぶ。CM、ファッション誌など多方面でも活躍。176センチ、62キロ。
(THE ANSWER編集部)