「オシムさんを超えさせてくれ」 偉大な師の背中追う“通訳出身”J2監督の挑戦
かつて指揮した秋田、愛媛とも上位争いを展開
2015年にS級ライセンスを取得し、最初に監督を務めたのはJ3の秋田。2年目となった昨季には、クラブ史上最高の4位という成績を残した。シーズンを戦い終えた間瀬は、選手たちに聞いた。
「これでオシムさんを超えられたかな」
返って来たのは同じ答えばかりだった。
「分かりません……」
すでに秋田の指揮官を退任することが決まり、次はJ2で愛媛を率いることが決まっていた。
「それは俺にも分からない。でも……」
間瀬は、しばらく間をおいて続けた。
「俺はオシムさんを超える方法を見つけたぞ。ジェフは、オシムさんがいなくなった瞬間から崩れ落ちてしまった。でもこのクラブでは、俺一人が抜けたくらいで落ち込むような取り組み方は一切していない。だから来シーズンは、お前たちがさらに順位を上げて、俺にオシムさんを超えさせてくれ」
06年の日本代表監督就任によってオシムが去ったジェフは、次第に順位を下降させ09年にJ2降格。それ以来、8シーズンにわたってJ1復帰を果たせておらず、今季も第19節終了時点で15位と苦しんでいる。
一方、間瀬が去った秋田は、J3第13節を終えて1試合消化が少ないなかで2位に勝ち点5差をつけて首位を快走。そして今季から率いる愛媛も、首位と勝ち点6差の9位とJ2で上位争いを展開している。
(文中敬称略)
【了】
加部究●文 text by Kiwamu Kabe