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なぜ、中村俊輔はFKが上手くなれたのか “今さら聞けない疑問”で明かす天才の極意

マリノスで磨かれたキッカーとしての「自覚」と「責任」

「練習でゴールマウスを守っているのは日本代表の(川口)能活さん。壁には偉大な先輩ばかりが立っていて、隣にはボリビア代表としてアメリカW杯に出場したバルディビエソがいた。先輩たちにボールを当てるような下手なキックはできない(笑)。かといってゴールの枠から外れるようなシュートでは認めてもらえない。だから、決めるしかない。極限の緊張感の中で毎日を過ごせたことが、その後のサッカー人生においてかけがえのない財産になっている」

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 高校時代と同じように、プロ入り後も居残り練習は貴重な時間となる。ゴールマウスに入ったのは全体練習同様に川口だったが「後にも先にも能活さんから練習を切り上げられたことは一度もない」。その後、日本代表でもともに日の丸を背負って戦うチームメートとなり、そこでの居残り練習でも終了を告げられた記憶がない。

「能活さんは後輩の僕が納得するまで練習に付き合ってくれて、GK目線でのアドバイスまでくれた。普段から練習しているのが日本代表GKだから、試合になっても臆することなく自信を持って蹴ることができた」

 こうしてキッカーとしての自覚と責任が培われていく。97年のベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)戦でのプロ初ゴールを直接FKから記録したのも「今となってはとても自分らしい気がする」と懐かしそうに笑う。日々のたゆまぬ鍛錬によってプロとして認められた瞬間だった。

 日々の練習にどう工夫を凝らし、置かれた環境とどう向き合うか。それが、中村の場合、上達の近道になった。そして、40歳で迎えたプロ23年目の今季。稀代のキッカーは何百万、何千万と蹴り続けてきたFKで、何度スタンドを沸かせてくれるのだろうか。

(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)

<「中村俊輔式 サッカー観戦術」絶賛発売中>

「サッカーは、ゴール以外“も”おもしろい」――。

 1997年から20年以上、日本のみならず世界で活躍し、今年も現役を貫く中村が、より楽しめるサッカー観戦術を徹底解説した1冊が発売された。サッカーファンにはより深い玄人観戦のヒントを、そして「ゴールシーンにしか興味ない」というサッカー初心者には、ゴール以外にも試合を楽しめるヒントを現役トッププロが丁寧に教える。

 さらに巻末には、中村の「記憶に残る5ゲーム」を振り返り解説。「40歳になった今も現役でプレーしているから企業秘密にしたいこともあるけれど、できるだけ隠さず話すので、参考にしてサッカーをさらに楽しんでもらえたらうれしい」という中村の思いが詰まったサッカーファン必読の1冊だ。

第1章 中盤を制する者がゲームを制す――「トップ下」の観戦術
第2章 戦術からサッカーを読み解く――「戦術」的な観戦術
第3章 ピッチを彩る個の力――「個」の観戦術
第4章 セットプレーはパッケージで楽しむ――「セットプレー」の観戦術
第5章 観戦方法についての考察――「スタジアム」&「映像」での観戦術
巻末特典 記憶に残る5ゲーム

 仕様:新書判・並製 頁数:1C・184頁 定価:880円(税別) 発行:ワニブックス

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