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無敗チームが急失速…ジークスター東京、4月大苦戦の裏側 寄せ集めのスター軍団を待つ壁【ハンドボール・リーグH】

メンタルの弱点が露呈…闘将・玉川不在をどう乗り越える?

 もっとも、キラ星のスター選手たちがチームとして機能しきれないのが、これまでの弱点だった。代表で活躍し、移籍元チームでタイトルを獲得し、すでに「満腹状態」なのか。日本リーグのプレーオフでは昨年まで3年連続準決勝敗退。ここ一番での勝負弱さは「寄せ集めチーム」の限界のようにさえ思えた。

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 今年は、そんなメンタルのもろさを克服。首位独走時には、佐藤監督も「今は選手が自分たちで問題を解決している。我々が言わなくても、安心して見ていられます」と手ごたえを口にしていた。ところが、リーグ戦終盤にきてメンタルの弱さが再び露呈してきたようだ。

 福井戦では「気持ちの入らない」ように見える単純なミスも目立った。もちろん、選手たちは懸命にやっているはずだが、試合後「何も考えられなかった」とまさかの敗戦に呆然自失だった東江は「気のないように見えたなら、そうかもしれない」と言葉を絞り出した。

 伏線はあった。3月の大同フェニックス東海戦、試合は33-28で勝ったものの、内容的にはミスも多く、PV玉川裕康主将は「こんな試合をしていたら、大事なところで勝てない。勝ったからいいではダメ。小さなミスをなくさないと」と危機感をあらわにしていた。

 そんな「闘将」玉川が3月末の試合で負傷して戦線離脱。精神的な柱を欠いたことが、迷走につながっているのかもしれない。「1人いないだけで勝てなくなるはずはない」と玉川は吐き捨てたが、復帰が予定される5月までは苦しい状態が続く可能性も。よく言えばスマート、悪く言えば泥臭さが足りないように見えるチームにとって、チームを鼓舞し続けることができる「闘将」の存在は大きい。

「無敗でプレーオフへ」という目標が崩れ、日本リーグ時代から初となる「首位でのプレーオフ」も苦しくなった。それどころか、プレーオフでシードされる2位以内もピンチ。チームの大賀智也オーナーも「3位以下でプレーオフとなると、厳しくなる」と3連戦が強いられる3~6位での進出を不安視して険しい表情をみせた。

 レギュラーシーズン残り5試合。26日には前回も引き分けている「苦手」大崎オーソル埼玉と対戦、5月には刈谷、豊田合成との上位対決も控える。「スター軍団」と言われながら、これまで何ひとつ手にしていないジークスター東京。シーズン前、選手たちが涙で誓い合ったという悲願の初優勝へ、これからが本当の厳しい戦いになる。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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