球場でのSNS発信もロボット審判も大貢献 韓国プロ野球が人気急上昇のワケ…史上初1000万人動員の裏側
日本、韓国、台湾とアジアのプロ野球が観客動員を伸ばしている。韓国では昨季レギュラーシーズンに計1088万7705人を動員し、史上初の1000万人超えを果たした。今季も22日の開幕戦から各球場は大盛況だ。チアガールをはじめとした応援の人気が高まる一方で、他にも観客動員の伸びに貢献しているとみられる要素があるという。現場の見方を聞いた。(取材協力・パシフィックリーグマーケティング株式会社)

人気爆発の裏側…今季からピッチクロックも導入
日本、韓国、台湾とアジアのプロ野球が観客動員を伸ばしている。韓国では昨季レギュラーシーズンに計1088万7705人を動員し、史上初の1000万人超えを果たした。今季も22日の開幕戦から各球場は大盛況だ。チアガールをはじめとした応援の人気が高まる一方で、他にも観客動員の伸びに貢献しているとみられる要素があるという。現場の見方を聞いた。(取材協力・パシフィックリーグマーケティング株式会社)
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韓国や台湾のプロ野球では、チアが男性の応援団長とともに内野に陣取り、攻撃中は常に踊りながら応援している。韓国ではチアガールが1990年代から存在しており、昨秋行われたプレミア12のような国際大会では、代表の応援のために海を渡ることも。また2日まで宮崎県内で行われた「球春みやざきベースボールゲームズ」に参加したロッテ・ジャイアンツは、日本まで応援団長とチアを送り込んでの応援を展開した。
釜山を本拠地とするロッテは昨季、10球団中5位となる123万2840人の観客を動員した。1試合平均にすると1万7364人。球場の座席数が2万2758にとどまるため、週末を中心にチケットの争奪戦が深刻となるほどだった。
球団で国際業務を担当するキム・テヒョン氏はこの野球人気の伸びを、新しいものをまず取り入れてみるという球界全体の考え方によるものと見ている。2022年にコミッショナーに就任したホ・グヨン氏は長年テレビ解説者として活躍。1980年代のプロ野球創成期には監督を務めたこともある人物で「本当に野球が大好きで、ファンと選手のニーズの両面をご存知の方だと思います」と感じている。
昨年から機械がストライクを判定するロボット審判を導入し、今季からはピッチクロックも導入した。これは試合時間の短縮を求める声に応えようとしてのもので、キム・テヒョン氏は「ファンのニーズに応じて様々な挑戦をされています。そのようなところが観客動員数の最高記録更新につながったのではと思います」。まずやってみるという韓国社会の傾向が、いい方向に出ているのだ。
また、昨季球団新記録となる130万1768人(1試合平均1万8355人)を動員した斗山ベアーズのキム・テリョン団長(球団代表に相当)は「若者や女性のファンが増えています。球場内の様子を撮影したTikTok、YouTubeなどのショート動画が、新たなファンを誘客していると聞いています」と、SNSでの発信が“楽しさ”を広げた結果でもあると指摘した。
さらにチアガール人気はもちろんのこと、若手選手を“推し活”するファンが増えた。史上最年少でトリプルスリーを達成した21歳のキム・ドヨン内野手(KIA)や、高卒1年目で19セーブを挙げ新人王を獲得した斗山のキム・テギョン投手らが人気の中心にいるという。さらに人気キャラクターとコラボしたユニホームを発売し人気を博すなど「マーケティングの成功も人気が高まっている要因です」とみている。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)