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「10代がピーク」の常識を覆す34歳 30年間休まず、連日7000m…競泳・鈴木聡美が現役でいる理由

競泳の日本選手権第3日が22日、東京アクアティクスセンターで行われ、パリ五輪代表の鈴木聡美(34=ミキハウス)が200メートル平泳ぎで12大会ぶり4回目の優勝を果たした。前日の100メートルと合わせて2冠を達成した鈴木は、2種目で7月の世界選手権(シンガポール)代表に内定。競泳界の常識を覆す驚異の34歳は、世界を目指して進化を続ける。

鈴木聡美【写真:産経新聞社】
鈴木聡美【写真:産経新聞社】

鈴木聡美が日本選手権2冠

 競泳の日本選手権第3日が22日、東京アクアティクスセンターで行われ、パリ五輪代表の鈴木聡美(34=ミキハウス)が200メートル平泳ぎで12大会ぶり4回目の優勝を果たした。前日の100メートルと合わせて2冠を達成した鈴木は、2種目で7月の世界選手権(シンガポール)代表に内定。競泳界の常識を覆す驚異の34歳は、世界を目指して進化を続ける。

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 予選を2位で突破した鈴木は、スタートから飛び出した。浮き上がりでトップに立つと、ラストは隣を泳ぐ19歳の加藤心冨に追い上げられたものの最後までリードを守って2分23秒98でゴール。2分25秒91の世界選手権派遣標準記録も突破した。

「最後の50メートルは根性勝負になると思っていました。たとえ代表に入れなくても、全力を出し切ろうと。(追い上げられて)ちょっとだけ焦りもあったけれど、優勝できて非常にうれしい。いつ以来かは、自分もよくわからないです。100メートルが11年ぶりというのも、きのう初めて知ったので」

 女子の競泳は長く「10代がピーク」と言われてきた。最近は選手寿命が長くなってきたとはいえ、この日の決勝レースも鈴木以外は大学生と高校生。一回り以上離れた選手たちと争うのは、体力的にも精神的にも厳しい。もちろん、鈴木自身も年齢を意識する。

「(前日の100メートルの疲れで)ゆとりはなかったです。腕や背中の張り感が強く、可動域が少なかったり、呼吸が荒くなりやすかったりして、不安要素はありました。きつさはあります」

 それでも、200メートルのレースに臨んだ。多くの選手の場合、年齢を重ねると50メートルや100メートルなどのスプリント種目に絞る。持久力が必要になる200メートルはスプリント強化だけでないトレーニングが必要。練習量も多くなるし、体力、精神力ともにきつくなるからだ。

「50(メートル)に備えて200を棄権するプランもあったけれど、もし棄権したらちょっと残念だなと。一般的には200はきついし、泳がなくて済む、となるでしょうけど。私は50、100、200のすべてを泳ぐことで、全部の種目に生かされる泳ぎができると思っています。200の方が世界での成績はいいので、私って200の選手なんだなという姿勢に、ようやくなってきました」

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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