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「駅伝も変わらなければ歴史に埋もれていく」 日本独自ゆえの警鐘、廃止トレンドの「大学VS実業団」は持続可能か

「実業団と大学のドリームマッチ」。16日に大阪で行われた「ACN EXPO EKIDEN 2025」(エキスポ駅伝)は、そんな大会だった。正月のニューイヤー駅伝と箱根駅伝の上位チームが「日本一」を争い、大阪・関西万博の機運を盛り上げるのが目的だった。

エキスポ駅伝で優勝したトヨタ自動車【写真:柳瀬心祐】
エキスポ駅伝で優勝したトヨタ自動車【写真:柳瀬心祐】

スポーツライター・荻島弘一氏の取材コラム

「実業団と大学のドリームマッチ」。16日に大阪で行われた「ACN EXPO EKIDEN 2025」(エキスポ駅伝)は、そんな大会だった。正月のニューイヤー駅伝と箱根駅伝の上位チームが「日本一」を争い、大阪・関西万博の機運を盛り上げるのが目的だった。

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 1970年大阪万博の会場をスタートし、2025年大阪・関西万博の開催地、夢洲がゴール。55年の月日の流れを表すように、総距離は約55キロに設定された。大阪城など名所を巡り、地下鉄と並走し、御堂筋を駆け抜けるコースは確かに新鮮で楽しかった。

 ぶっちぎり優勝したトヨタ自動車は別として、2位集団以下では実業団と大学が争う見せ場もあった。開幕まで1か月の万博盛り上げイベントとしては、おもしろかった。ただ、あくまでも「エキシビション」「花相撲」という意味。テレビ局が主催し、大阪・関西万博協会が共催したイベントは「ガチンコ勝負」にはほど遠かった。

「実業団対大学」という触れ込みには「何を今さら」という感じがする。陸上に限らず、どのスポーツでも大学より実業団(社会人)の方が強いのは常識。もちろん、個々の競技力では実業団のレベルを超える学生もいるが、チーム力になれば別だ。

 学生のトップ選手を集め、よりよい環境で競技力を伸ばしていくのが実業団の役割。さらに、毎年のようにメンバーが変わって4年間で総入れ替えする大学と違って、実業団は長期でチーム力を向上させることができる。その両者を争わせることには無理がある。

 トヨタ自動車の熊本監督は、選手たちに「プロ意識を持って」と話したという。今の実業団選手は、走りで給与を得る「プロ」。海外遠征や選手補強にも豊富な資金力が使える。授業の合間に練習し、強化資金も限られる「アマチュア」の大学とは立場が違う。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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