[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「ボクシングは本当に素晴らしい」 負けても京口紘人は笑って言う、頭を下げた激闘後の記者会見

試合後、アンソニー・オラスクアガ(手前)とハグを交わす京口紘人【写真:徳原隆元】
試合後、アンソニー・オラスクアガ(手前)とハグを交わす京口紘人【写真:徳原隆元】

「無事に帰ってきて」と言わなかった妻・亜希さん「生きていて…」

 2022年11月に世界ライトフライ級王座から陥落。23年5月にフライ級で再起した。日本人8人目の3階級制覇は夢のまま。「ありがとうございました!」。敗者は清々しく会見場に現れた。

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

「3階級制覇の壁は高いようで、でも、越えられるかなっていうくらいの壁でした。王者は強かった」。妻の話になると、思わず笑みがこぼれた。

「『面白い試合やったよ』と言われた。妻の方が強かったですね。やっぱり男は勝てない。かっこいい姿を見せたいのは、男が誰でも思うこと。ベルトを巻く姿を見せたかった」

 今回の試合は「無事に帰ってきて」ではなく、「絶対に勝ってきて」と背中を叩いた亜希さん。控室の前で深く息をついた。「生きて帰ってきてくれてよかった。気持ちが伝わる試合。紘人くん、めっちゃ頑張ったんやな」。最大限の感謝を受け取ったものの「私は『ありがとう』と言ってもらおうと思ってやっているわけじゃない。自分がやりたくてやっているだけ」と笑った。

 初心を取り戻し、全力で走り切った31歳の元世界王者。幼い頃、何でもこなせる器用な子じゃなかった。人一倍の愚直な努力でやっと掴めた2階級のベルト。3本目が手をかすめた今、胸に秘めたものがあった。

「今ね、将来世界王者になると思ってトレーニングをする子どもたちがたくさんいると思う。その子たちに『俺でも王者になれる』『私でもなれる』と思ってもらえるように。そういうメッセージを伝えたいとずっと思っている。自分は本当に才能がない。でも、やることをやれば絶対にチャンスが来る」

 進退は熟考する方針。「楽しかったですね、あはは。ボクシングは本当に素晴らしい」。負けても言えるのは、日々が充実していた証し。「ありがとうございました」。会見場からの去り際にもう一度、そっと頭を下げた。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
CW-X
ABEMA 大相撲
Seiko HEART BEAT Magazine
funroots
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集