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「同じ」を求める日本の風潮、浮いた幼少期「親に迷惑を…」 小学生に伝えたボクサー岩田翔吉の個性論

世界戦のリングで戦い抜いた岩田(右)【写真:徳原隆元】
世界戦のリングで戦い抜いた岩田(右)【写真:徳原隆元】

母校の小学生に講演「人と違ってもいいんです」

 依頼を受け、豊島区の母校・立教小学校で講演。チャンピオンベルトを手に体育館に入ると、大興奮の子どもたちに取り囲まれた。当時の担任など世話になった先生たちの姿も。「自分みたいな出来の悪かった子が喋ってもいいのかな」

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 素直な視線を向けられた30分間。周りに合わせられなかったこと、怒られてばかりだったこと、少年時代の自分に向けるように包み隠さず伝えた。

「人と違ってもいいんです。子どもの頃はその時の流行りがあって、『これをやらないと』と固められてしまう。僕はそれができなくて、好きなことをやり続けた。続けるのはいいこと。成果が出なくてもいいので、やり続けることに意味があります。僕はそうやって世界王者になりました」

“好き勝手にやっていい”というわけじゃない。先生には、今も似たような悩みを抱える児童がいると聞いた。「『自分も大丈夫』と思ってくれたみたいです。希望になれたらいいし、行ってよかった」。校舎には世界王者になる前から岩田のポスターが貼ってある。

 競技に興味を持ってくれた児童ら130人を今回の試合に招待。「ボクシングの魅力を見せたい」と力を込めた拳を振り続けた。しかし、試合巧者の相手を捕まえきれず。左ジャブと動き回るフットワークに苦戦し、ベルトを手放した。「今やれることはやり切った」。子どもたちに勝利を届けられず、無念を滲ませた。

「本当は勝つところを見せたかった。それを見せられなかったのは悔しいけど、自分の好きなことをやったからこういう舞台で試合ができた。それを見せられたのはよかった。やり切ったという気持ちが強い」

 簡単に立てない世界戦のリング。戦い抜いた姿は届いたはずだ。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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